新人スタッフが入社してまず最初に経験するのが入社時の研修です。
入社時研修は、お客様対応の体制を整えていく上で最も重要な実施項目の1つです。
今回は長期的な視点でどのような入社時研修を実施するのが適切なのかを検討してみましょう。


入社時研修の重要性

入社時研修は単に「業務に必要な知識を身に付けてもらう」ということ以外にも、その後のスタッフの「あり方や進むべき方向性」を決める最も大きな要因と1つであり、ひいてはコンタクトセンターなどの自社のお客さま対応組織全体の品質を決定する要因ともなります。

入社時研修を通じて滞りなく入社の準備を整えることで、優秀なスタッフによる高品質のお客さま対応組織の安定した維持や運用が可能になります。

適切なカリキュラムを策定できない場合にはまず、

  • 研修時の離脱(退社)増加による採用コストの増大
  • 新人採用が安定しないことによる、対応品質の低下


が発生します。

一度悪化した採用サイクルや対応品質を元に戻すのは、それを維持する場合に比べて何倍もの工数やコストがかかります。
大切なのは「最初に良い仕事をしておく」ことです。

スタッフは、お客様対応組織の屋台骨であり企業の顔でもあります。
入社時研修を入念に準備にすることは決して無駄になりません。


研修時のリタイアはなぜ起こるのか?

入社時研修のあり方を考える際に、最も直近の課題として考慮しなければならないのは、研修時のリタイア(退職)を減らすことでしょう。
研修中にリタイアされてしまいますと、採用コストや研修準備要した工数が丸々無駄になるだけではなく、同時入社したスタッフに対しても悪影響を及ぼします。

研修時のリタイアの原因は主に次の3つです。

  1. 思っていた業務内容と異なる
  2. 研修に付いていけない
  3. 業務に興味が沸かない


1に関しては、その要因はさまざまなものが考えられますが、入社時研修の段階では手の打ちようがありませんので、採用担当などに状況をフィードバックすべきです。

2に関しては、入社時研修の最も大きな課題の1つです。
本人に問題がある場合と研修カリキュラムに問題がある場合が考えられます。
本人の問題の場合はさておき、研修カリキュラムに問題がある場合は、早急に解消する必要があります。
さらに大きな問題は「研修カリキュラムに問題があることが原因で、研修時リタイアが発生しているのを認識していない」場合です。

これは次の3についても言えることです。
カリキュラム作成側では気付かない問題点は必ず存在します。
後述するように、研修の受講者側の評価や意見なども必ず確認するようにしましょう。


望ましい入社時研修の策定方針

上記のような課題を認識した上での、
あるべき入社時研修カリキュラムの策定方針は以下となります。

当たり前のことをしっかりと教える

自社の業務担当者や研修担当者が「当たり前」と感じていることでも、新人スタッフにとっては目新しく難しいものです。
しかも「当たり前」のことは基本的で重要な事項であることが意外と多いものです。
そのような事項を「当たり前のことなので分かっているはず」と片付けてしまうのは非常に危険です。

研修中はもちろん、その後の業務着任後にも、信頼関係や業務知識面でさまざまな悪影響を及ぼす可能性がありますので、当たり前と思われることでも、しっかりと相手が理解できるように教える必要があります。

カリキュラム内容は常にブラッシュアップする

入社時研修を終了したスタッフや、研修担当者、業務担当者などにヒアリングや意見聴取し、難易度や内容、研修量やスケジュールなどを定期的に見直ししましょう。
入社時研修はあくまで新人スタッフのための研修であることを忘れないようにしたいものです。

研修時間が長すぎる場合は分けて行うことを検討する

業務内容が広範囲であったり複雑な場合は、一通り研修を実施するだけでも相当の長期に及ぶ場合があります。
一般的に考えて、数ヶ月にも及ぶ研修は、知識習得の面やモチベーションの面で集中力を持続するのは困難でしょう。

人間が一度に覚えられる知識量には限界があるものです。
一気にさまざまなことを覚えるよりも段階的に習得していく方が効率良く確実に覚えられものです。
こういった場合は、最初にすべての知識の習得を目指すのではなく、現場で限定的な役割をこなしつつ、段階的に業務範囲を広げてステップアップしていく方法を検討すべきです。
研修カリキュラムもそれに合わせて分けて実施します。

▼投稿のシェアをする▼