IT・WEBサービスサポートでは、顧客のトラブル、疑問を速やかに解決することを最大のミッションとして業務を行います。

しかし、このミッションが100%達成できても顧客にとっては製品やサービスが正常に利用できることが当然のため、顧客が感じる満足度は最低のレベルでしかありません。
このレベルの顧客満足度では顧客ロイヤルティを高め、顧客を囲い込み、さらに顧客の口コミ情報によって新規顧客を獲得して売上を伸ばすことはほとんど期待できません。
厳しい経営環境下で企業競争力を高め、売上を伸ばすためには、顧客満足をこえた顧客感動を顧客に与える必要があります。

そこで、顧客感動とは何か、IT・WEBサービスサポート業務で顧客に感動を与えるにはどうすればよいかについて紹介します。


顧客満足をこえた顧客感動とは?

顧客感動とは、「顧客はサポートや接客などを受けるとき、過去の経験などから意識しなくても、どのような内容のサポートや接客かを予測し、期待しています。
その予測・期待を仮に数値で1としたとき、受けたサポートや接客の内容が1以上であったときに顧客が感じる気持ち」のことです。

一方、顧客満足とは、「顧客の予測・期待値が1のときに、1の提供しか受けられなかったときに顧客が感じる気持ち」のことです。
1以下であれば、顧客は声に出さなくても不満を感じて、リピーターにはなってくれません。
ゼロ以下のマイナスになればクレームに発展し、SNSには悪い評価があふれる可能性があります。

顧客感動には個人差がありますが、例えば、オシャレなレストランの料理と接客マナーが気に入って数回利用した後、再び訪れたとき、今までと同じレベルの接客サービスと思っていたら、オーナーシェフや店の責任者がテーブルまであいさつに来て、これまでの利用回数や好みの料理、ワインの種類まで知っていて、本日のおすすめ料理、ワインを紹介してくれたとしたら、多くの人は満足をこえてそのレストランに感動するでしょう。

IT・WEBサポートサービス業務においては、例えば、基本業務である顧客の問い合わせに的確で迅速に応えることであっても、顧客の予測をこえる的確さや迅速さに加えて、質問に関連した内容から想定される便利な使い方まで懇切・丁寧に説明したら、顧客の予測をこえたサポートになり感動を与えられるでしょう。


IT・WEBサービスサポートで顧客感動を意識することが重要な理由

IT・WEBサービスサポート業務で顧客感動を与えることが重要な理由は3つです。

1.顧客感動は全社をあげて取り組む課題であること

営業部門やその他の部門が頑張って顧客に感動を与えても、その顧客が問い合わせをしてきたとき、IT・WEBサービスサポート部門が顧客に感動を与えられなければ顧客ロイヤルティは高くなりません。

ミッションである顧客の抱える課題の的確・迅速な解決だけを果たすのではなく顧客に感動を与えるにはどうすればよいかを考え実践する必要があります。

2.マイナス感情を抱いている顧客と接することから顧客に感動を与えやすいこと

IT・WEBサービスサポートに問い合わせをしてくる顧客は、トラブルや疑問を抱えており、少なからずマイナスの感情を持っています。
そのためミッションを満たす対応ができてもマイナス感情がゼロになる程度の満足しか顧客に与えられません。

しかし、逆に言えば、マイナス感情であるから顧客の予測する期待値も低く、その期待値を少しだけこえるサポートができれば顧客に強い感動を与えられます。

3.顧客ロイヤルティの低下を阻止できる部門であること

顧客は、製品やサービスに何の問題もなく、期待をこえた性能や機能があればリピーターになってくれます。

しかし、いったん製品やサービスに問題が発生したり、うまく使えなかったりするトラブルが生じると、一転してリピーターにならないだけでなく、口コミで悪い評判を流して新規顧客への販売を困難にしてしまう可能性があります。

顧客のマイナスイメージをプラスにできる役割を担えるのはIT・WEBサービスサポート業務です。
IT・WEBサービスサポートだけでは対応が困難な問題は、速やかに営業や技術部門などと連携して対応することで顧客ロイヤルティを維持できます。


IT・WEBサービスサポート業務で顧客に感動を与える方法

顧客感動に結びつく顧客が感じる価値で、IT・WEBサービスサポートが与えられる価値は大きく分けると「技術的価値」「感情的・意外性価値」の2つです。

1.技術的価値とは

技術的価値とは、技術情報や顧客情報の共有化を図り、すべての担当者が同じレベルで顧客に技術的対応ができて、顧客の抱えるトラブルや疑問を顧客が期待する以上に、的確・迅速に解決できるスキルのことです。
技術的価値には、顧客が2回、3回と問い合わせをしてきたときに、顧客に同じことを一から説明をさせないことも含まれます。

2.感情的・意外性価値とは

感情的・意外性価値とは、顧客が抱えるトラブルや疑問に対して顧客の気持ちを理解して、顧客の立場に立って問題解決を考えてくれているのだという感情を顧客に与えること、および顧客がまったく予測・期待していないことを自分のためにしてくれたということを顧客の感情に訴えることです。

後者の事例としては、例えば、顧客はIT・WEBサービスサポート部門は自分から問い合わせをしない限りは、連絡をもらえないと思っています。

しかし、問題解決した後に、その問題に関して顧客にとってためになるプラスアルファの情報ができたときにIT・WEBサービスサポートから顧客に発信すると、顧客は予測・期待していないので感動を与えられます。


まとめ

IT・WEBサービスサポートは、業務の内容から対応を誤ると顧客感動はおろか、顧客満足も与えられず不満、クレームにつながる高いリスクがあります。
一方で、リスクが高い分、顧客感動を少し意識した対応を行うことで顧客に感動を与えやすい業務でもあります。

「悪事千里を走る」ということわざがありますが、良い評判は伝わりにくく、悪い評判はことわざのとおりに、広く、速く、そしてもともとの悪い内容がさらにひどい内容に変化して拡散します。
このことは、アメリカの大学(シカゴ大学のプレスジャーナルに掲載された研究結果:英文サイト)で確認されています。
また、別の大学の報告をもとに公益社団法人 日本心理学会のサイトにも同様な内容が掲載されています。

そのため、IT・WEBサービスサポートの最大のミッションに注力することで悪い評判が立つことを防止することが最も重要ですが、それに加えて顧客感動を意識したサポートを行えば、近年はSNSの普及で良い評判も広く拡散させることが期待できます。

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