【連載】IT・WEBサービスサポートをKCSによって効率化するために必要な知識 ー 中編

 

IT・WEBサービスサポートをKCSによって効率化するために必要な知識

 

前回、IT・WEBサービスサポート業務の合理化・効率化を可能にするKCS(ナレッジセンターサポート)と呼ばれる手法について、その概要を紹介しました。
今回は、KCSを活用するために必要なナレッジマネジメントの知識、およびKCSでナレッジを活用するときの重要なポイントについて紹介します。

 

前回の記事はこちら:【連載】IT・WEBサービスサポートを効率化できるKCS ー 前編

 

 

 

 

 

KCS(ナレッジセンターサポート)はナレッジマネジメントを利用した手法

 

KCSは、アメリカを代表するハイテク企業がナレッジマネジメントの手法を使って、サポートサービス業務の課題を解決するために10年以上の年月と多額の費用を投じて開発した手法のことです。
そこで、最初にナレッジマネジメントとは何かについて説明します。

 

 

 

1.ナレッジマネジメントとは


ナレッジマネジメントとは、個々の社員が日常業務を遂行していくなかで得た知識、経験、ノウハウ、スキルなどの幅広いナレッジを全社員が共有できるようにして特定の人しか知らない優れたナレッジを企業全体で活用するマネジメント手法の1つです。
ナレッジマネジメントは、業務の合理化や効率化のみだけではなく新しいイノベーションを生み出せる手法です。

 

多くの科学的なマネジメント手法は欧米で生まれていますが、ナレッジマネジメントの提唱者は、一橋大学の野中郁次郎教授らが1990年代に発表した理論とされています。

 

ナレッジマネジメントでは、ナレッジを全社員が共有し、活用しやすくするだけでなく、ナレッジを全社員が共有することで、そこから新しいイノベーションを含む新たなナレッジを生み出し、それが組織にとって有効なものとして活用されることを目指しています。
ことわざの「3人寄れば文殊の知恵」のように、多くの知恵を集めれば、1人では決して考えられないほどの高いレベルの知恵を創造できます。

 

 

 

2.ナレッジマネジメントで重要なポイント


ナレッジマネジメントは、自分は知らないけれど他の社員が知っているナレッジを相互に共有することで知らなかった新たなナレッジを得るとともに、それだけにとどまらずにナレッジとナレッジを組み合わせたり、ヒントにしたりして新たなナレッジの創造を目指すことが重要です。
そのため、企業として経営層を含め、全社員がナレッジを共有化するという強い組織風土が必要です。
全社員が、自発的に自らのナレッジを提供して活用できるようにする強い意志が求められます。

 

そのためには、「自分に必要なナレッジが増えさえすればよい」と思うのではなく、積極的に自分のナレッジを他の社員のために提供しなければ企業や組織全体の生産性の向上や複数のナレッジから新たなイノベーションを生み出せません。
全社員がナレッジを積極的に提供するとともにナレッジを積極的に利用する意識を持たねばなりません。

 

 

 

 

 

2種類のナレッジである「形式知」と「暗黙知」について

 

ナレッジには、大きく分けて「形式知」と「暗黙知」の2種類があります。

 

「形式知」とは、言語(文章)や数字・図表などで表せるナレッジのことです。
「暗黙知」とは、明確に言語(文章)や数字・図表などで表せないナレッジのことです。
「暗黙知」には、例えば自転車の乗り方、水泳の泳ぎ方、経験に裏打ちされた熟練工の技など、技能、ノウハウ、コツなどのナレッジがあります。
実務としての「暗黙知」には、例えば、WEB・ITサポートで
製品やサービスの知識や話し方に差がないのになぜか顧客を満足させられるサポートができる社員のサポートテクニックや、
同じように知識に大きな差がないのに成績がよい営業社員の営業テクニックなどがあります。

 

「暗黙知」でも、文章や図、あるいは動画などを用いて誰もがやり方を理解できて、実際にうまくできれば「形式知」にすることが可能です。
そして、できるだけ多くの「暗黙知」を「形式知」にできれば、優秀な社員の「暗黙知」を全社員が活用できるようになり、企業全体・組織の生産性を大きく向上させられます。

 

 

 

 

 

IT・WEBサービスサポートにおけるナレッジ活用の問題点

 

KCSは、上記で説明したナレッジを最大限に活用してIT・WEBサービスサポート業務の合理化・効率化を可能にする手法です。
しかし、ナレッジとしてFAQを十分に制作し、また多くのマニュアルや資料などがデータベースにナレッジとして活用できる状態にあるけれど、
合理化や効率化が十分にできているとはいえないというIT・WEBサービスサポート部門もあるのではないでしょうか?

 

FAQが不足しているから十分に合理化・効率化できていないとしても、
KCSの手法を理解してナレッジを活用しなければ、FAQやその他ナレッジを十分に用意しても、多少の合理化・効率化はできますが大幅な合理化・効率化はできません。
一般的なナレッジマネジメントでは問題がなくても、IT・WEBサービスサポートではKCSの手法の理解が必要です。

 

 

 

 

 

IT・WEBサービスサポートでKCSによるナレッジを活用するときのポイント

 

一般的に多くのIT・WEBサポート部門で行われているナレッジの活用は、
例えばFAQの場合、このことについては問い合わせが来るかもしれないから先に用意しておくという「ジャストインケース」の考え方で作られています。
この場合、FAQは顧客との距離が遠い技術者が作成することが多く、顧客の疑問に答える内容からかけ離れている問題が起きます。
つまり、顧客はソリューションを求めていますが、ソリューションではなく一般論的な解説になって、あまり顧客の役に立たないFAQになってしまいがちです。
また、技術者が作成する場合は、作成スピードが遅くなるという問題も生じます。

 

KCSで最も重要なポイントは、見つけやすく使いやすく記述された内容のナレッジをできるだけ早く「ジャストインタイム」で作成することです。

 

 

この記事の感想をお聞かせください