【iOS14とATTフレームワークに関するユーザー動向レポート】ATT導入から3ヶ月以上が経過、ユーザーのiOS14.5アップデート率は71%まで増加
2021年9月2日
アプリのトラッキングを許可したユーザー(ATTオプトイン率)は全体の47%に
モバイル広告効果計測プラットフォームとマーケティングアナリティクスを提供するAppsFlyerJapan株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:オーレン・カニエル、カントリーマネージャー:大坪直哉、以下AppsFlyer)は本日、iOS14アップデートとApp Tracking Transparencyフレームワーク(以下、ATTフレームワーク)本格導入から3ヶ月以上が経過した現在の、アプリユーザーの最新動向に関するレポート「ATT Dashboard」を発表しました。
本レポートは、世界シェア72%を誇るAppsFlyerが保有する、2021年3月12日~8月24日における3,000以上のアプリデータを基にiOS14とATTフレームワークに関するユーザー動向レポートをまとめたものです。
<以下、プレスリリース>
*ATT Dashboard 詳細URL:
https://www.appsflyer.com/resources/reports/ios-14-att-dashboard/
調査サマリー
- 【iOS14.5アップデート率】ユーザーによるiOS14.5のアップデート率は71%まで増加。日本は85%と世界に比べ高い値に
- 【ATT実装率】アプリデベロッパーによるATT実装率は41%、ジャンル別ではハイパーカジュアルゲームが62%と最も高い結果に
- 【ATTオプトイン率】ユーザーのATTオプトイン率は全体で47%と6月以降横ばいが続く。日本は43%とやや低い結果に
- 【アプリインストール広告費】iOSにおけるアプリインストール広告費は、ATT導入前に比べ18%減少
- 【ゲームアプリの収益】iOSにおけるゲームアプリの収益がATT導入前と比較して直近1ヶ月
で約30%減少
ビジネスにおける個人のプライバシーに対する配慮の重要性が世界的に高まっている中、Appleでは、2021年4月26日のiOS14.5リリースと同時に、ユーザーの個人情報保護を目的としたATTフレームワークを導入開始しました。
広告主は、広告識別IDであるIDFAの取得においてアプリごとにユーザーの許諾が必要となり、Appleが提供するプライバシーに配慮した計測ツール”SKAdNetwork”への適応も求められています。
本レポートでは、iOS14.5のリリース、ATTフレームワークの導入から3ヶ月以上が経過した現在、アプリデベロッパー・広告主がどのように行動し、アプリユーザーがどのように反応したか、AppsFlyerが網羅する世界のアプリデータを基にその動向を公開します。
*調査ジャンル:全体(全アプリジャンル)、ゲーム(サブジャンル別)、ショッピング、ファイナンス、ソーシャル、エンターテイ メント、写真、フード&ドリンク、ライフスタイル、トラベル、ヘルス&フィットネス、教育
*調査対象国:米国、英国、ドイツ、フランス、ロシア、トルコ、日本、韓国、オーストラリア&NZ、中国、インド、ベトナム、ブラジル、メキシコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦
iOS14とATTに関するユーザー動向
(1)【iOS14.5アップデート率】ユーザーによるiOS14.5のアップデート率は71%まで増加。日本は85%と世界に比べ高い値に
8月24日までにiOS14.5へのアップデートを実施したユーザーは、世界で71%にまで増加しました。
ATTフレームワーク導入直後の期間(8%)に比べ、63ポイント増加しました。
特に、6月7日~6月13日の期間では、前週比18ポイント増と最も高い伸び率を見せました。
また日本では、8月24日までのiOS14.5アップデート率が85%と、世界の71%に比べ14ポイント高い数値となっています。
iOS14.5のアップデート率が高まるにつれ、ユーザーの広告識別IDであるIDFAがATTフレームワークに順応することでしか取得できなくなっています。
そうした中、アプリデベロッパーによるATT実装率や、ユーザーのATTオプトイン率が広告主にとってより重要な数値となっていきます。
(2)【ATT実装率】アプリデベロッパーによるATT実装率は41%、ジャンル別ではハイパーカジュアルゲームが62%と最も高い結果に
2021年4月26日にATTフレームワークが導入されて約4ヵ月が経過し、8月24日までに世界でATTフレームワークを実装したアプリデベロッパーは41%となりました。
正式リリース前の早期実装期間を含む、ATTフレームワーク導入直後(3月12日~5月2日)の13%という実装率に比べ、28ポイントの増加となります。
特に6月7日~6月13日の期間では、前週比11ポイント増と最も高い伸び率となり、同期間において最大の増加を見せたiOS14.5アップデート率に比例した動きが見受けられます。
また、ATTを全面的に実装しているデベロッパーが約59%、部分的に実装しているデベロッパーが約41%という割合になっています。
ゲームのサブジャンルごとのATT実装率を見ると、ハイパーカジュアル(62%)、ハードコア(60%)、ソーシャルカジノ(51%)、ミッドコア(48%)、カジュアル(47%)と、ハイパーカジュアルとハードコアが他のジャンルに10ポイント程度の差をつけました。
ハイパーカジュアルゲームは作成からリリースまで時間が短く続々と新たなゲームがリリースされるため、ATT実装への順応が速かったことが高い実装率の一因と考えられます。
ATT実装率が全体の41%と依然低い数値となっている要因として、ATTのポップアップのABテストやメッセージ内容の考案にリソースがかかる点と、ATTポップアップを表示することによるブランド価値の低下やユーザー体験を妨げになるリスクを懸念していることが挙げられます。
今後よりATT実装率を伸ばすにあたり、この懸念点をどのように克服していくかが重要となってくると考えられます。
(3)【ATTオプトイン率】ユーザーのATTオプトイン率は全体で47%と6月以降横ばいが続く。日本は43%とやや低い結果に
ATT導入開始後、ポップアップでアプリによるトラッキングを許可したユーザーの割合を示すATTオプトイン率では、世界で47%と、6月以降横ばいが続いています。
日本においては、43%と世界に比べやや低い水準となりました。
ATTポップアップの許諾率を高めるためには、「表示タイミングの調整」が効果的であることがわかっています。
当社のデータでは、ATTポップアップの許諾率は、ATTポップアップをSDK起動後(10%)に見せるよりも、SDK起動前(32%)に見せる方が22ポイントもユーザーに受け入れられているという結果が出ているなど、SDKの起動タイミングを数秒遅らせることがIDFA取得率に寄与して います。
さらに、ゲームのサブジャンルごとのATTオプトイン率を見ると、ハイパーカジュアル(61%)、ミッドコア(49%)、ソーシャルカジノ(47%)、ハードコア(42%)、カジュアル(40%)となり、ハイパーカジュアルが他のジャンルのゲームに比べ10ポイント以上の差をつける結果となりました。
ATT実装率でもハイパーカジュアルは62%と高い値を示しており、多くのゲームでATTが実装されたことにより、ATTオプトイン率が比例して高まったと考えられます。
一方で、ATT実装率が60%とハイパーカジュアルに次いで高いハードコアではATTオプトイン率が42%と低い結果となりました。
これは、ハードコアゲームが習慣的にゲームをプレイしているユーザーが多いため、ATT実装という変化に順応できていないことが一因と考えられます。
(4)【アプリインストール広告費】iOSにおけるアプリインストール広告費は、ATT導 入前に比べ18%減少。
iOSにおけるアプリインストール広告費は、直近約2ヶ月間は大きな変化がないものの、ATTフレームワーク導入前(4月26日前)と比較して、世界全体で18%減少しました。
Androidのアプリインストール広告費も同様に減少していますが、結果として予算全体に占めるiOSの割合は9%減少しています。
これはiOS14.5のアップデート率の増加に伴い、iOS予算に占めるアプリインストール広告費を減らした企業が多かったことが要因の一つとして考えられます。
予算全体に占めるiOSの割合をジャンル別に見ると、ゲームは全体では3%減少しているものの、サブジャンル間で大きな格差があり、ソーシャルカジノは14%増加しました。
非ゲームのジャンルでは、iOSの予算シェアが11%減少しました。
ジャンル別では、金融が6%、ショッピングが4%増加したものの、その他ではAndroidに比べてiOSの予算が大幅に減少。
教育は25%、エンターテインメントは23%、食品・飲料は17%、ライフスタイルは15%と、全て減少しています。
(5)【ゲームアプリの収益】iOSにおけるゲームアプリの収益がATT導入前と比較して 直近1ヶ月で約30%減少
過去1ヶ月間において、iOSのゲームアプリの収益がATT導入前と比較して約30%減少しました。
これは、カジュアルゲームが60%減少したことが多くの要因となっており、その他ではハードコアゲームが9%の減少となりました。
一方、ソーシャルカジノゲームは16%増加し、ミッドコアゲームでは5%増加しました。
カジュアルゲームの損益は、マーケターがSKAdnetworkの限られたLTVデータを使って最適化しようとした結果、非オーガニックの収益が減少したことによるものと思われます。
ゲームアプリは、マーケティングに大きく依存していることに加え、大規模なユーザーデータを使って収益性を高めますが、現在、多くのアプリがATTフレームワークに順応できていないことが伺えます。
また非ゲームでは、ゲームアプリに比べると、マーケティングやユーザーのデータに依存していないため、決定的な影響は受けていません。
アプリジャンルごとの詳細なレポートは、以下よりご覧ください。
*ATT Dashboard 詳細URL:
https://www.appsflyer.com/resources/reports/ios-14-att-dashboard/
AppsFlyer Japan株式会社
AppsFlyerは、アトリビューションとマーケティング分析のグローバルリーディングカンパニーです。
マーケティングビジネスの成長を支援しイノベーションをもたらす包括的な広告効果計測および分析ソリューションを提供しています。
AppsFlyerは、Macy’s、Minecraft、Nike、NBC Universal、Tencent、US Bank、Wayfair、StitchFix、docomo、RECRUIT、VISA、JAPAN AIRLINESなどの大手ブランドを含む何千もの顧客と連携しています。
8,000社以上のパートナーからなるAppsFlyerのマーケットプレイスには、Facebook、Google、Apple Search Ads、Twitter、TikTok Ads、 Pinterest、Snap、Salesforce、Adobe、Oracleなどが含まれています。
AppsFlyerは先日、フォーブスの2020年クラウド100リストに2年連続で選出されました。
既存の投資家には、General Atlantic、Goldman Sachs Growth Equity、DTCP(Deutsche Telekom Capital Partners)、Qumra Capital、Pitango Venture Capital、Magma Venture Partners、Eight Roads Venturesが含まれます。
AppsFlyerについては www.appsflyer.com/jp をご覧ください。
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