ITサポートに向けた人材を育成するためには、社内で「人材育成プログラム」を作成しておくべきです。
何か基準になるものを作っておかなければ、社内での人材育成はうまく進みません。
そうは言われても、なかなか具体的なイメージを持ちにくいものでしょう。
以下ではITサポートの人材育成プログラムでの着眼点について解説をします。


ITサポートの人材育成は全社的に対応することも検討する

そもそも理解しておきたいのは、ITサポートの人材育成は全社的にサポートするべきであることです。
会社によっては「ITサポートの人材は当該部門で育てるべき」と考えている場合があります。
人材は部門単体で育てる考え方もありますので、これが悪いわけではありません。
部門に一任してしまうのも一つの選択肢です。
ただ、今回は部門ではなく会社全体で人材育成する場合を考えていきます。


ITサポート向けの人材育成プログラムで求められる着眼点

具体的に人材育成における着眼点は思いつきにくいでしょう。
以下では具体的な着眼点について解説をします。

対象者のスキルを図る工程があるかどうか

育成対象者のスキルを測る工程を設けるようにしましょう。
育成過程のスキルを測るのではなく、対象者が現在どの程度のスキルを持っているのかを測ります。
人材育成において重要なのは、「可能な限り無駄のない指導をする」ことです。
集団研修の場合はやむを得ない部分がありますが、そうでなければ対象者に沿った指導をしなければなりません。
これを実現するためには、既存のスキルを正しく把握しておく工程が必要なのです。

この工程で測ったスキルを踏まえ、「どのレベルから育成が必要か」を判断します。
人材育成プログラムは定められているべきものですが、その全てを実施するのではなく、必要なところだけを切り出して実施できるようにしておくのです。
なお、新入社員など既存のスキルを測るまでもない場合は、この工程を割愛しても構いません。
育成期間などを踏まえ、無駄のないようにしましょう。

ワークショップが採用されているかどうか

人材育成プログラムの中に、ワークショップが採用されているかに注目しましょう。
計画的にITサポートの人材を育てるのであれば、ワークショップは必須の工程です。
ITサポートについての座学を指導するのも重要ですが、実際にどのような方法があるのか体験させるのも重要なのです。

ワークショップですので、具体的な状況設定が必要です。
例えば「パスワードの失念についてメールで問い合わせが来た」「データの登録方法について電話で問い合わせが来た」などです。
実際に問い合わせのあったケースなどを踏まえて、ワークショップの内容を検討するようにしましょう。
あまりに実務とかけ離れた内容では、ワークショップをする意味がありません。

ITサポートの人材育成を検討する場合は、まずワークショップの検討から始めましょう。
これを軸として必要な教育などを追加していくのです。

基本的なIT統制スキルは指導できているかどうか

ITサポートのスキルだけではなく、基本的なIT統制スキルも指導内容に含まれているか確認しましょう。
最近はコンプライアンスなどの観点から、IT統制に関するスキルが求められています。
例えば、社内のシステム運用ルールや委託先との情報連携方法などです。
これらのルールは全社的に定められているはずですので、ITサポートの担当者にはこれらを正しく理解させる必要があります。

ただ、これらのルールを全従業員に周知している場合も多いでしょう。
そのような場合は、改めて人材育成プログラムの中でルールを指導する必要はありません。
正しく理解できているか、確認のテストなどを設けるに留めておきましょう。

ヒューマンスキルは指導できているかどうか

ITサポートの仕事柄、ヒューマンスキルの指導が含まれているかも確認しましょう。
ヒューマンスキルの定義は様々ありますが、ここではヒアリング能力などコミュニケーションスキルを指しています。
ITサポートは電話対応なども多いので、これらに関する基本的なスキルの指導が必要です。

指導の内容としては、新人研修で実施されるようなビジネススキルと同様かもしれません。
ただ、この指導で重要となるのは、「ITサポートとしてどのような受け答えが必要か」です。
サポートデスクはマニュアルなどが整備されているはずですので、それに沿った受け答えができなければならないのです。
単純に丁寧な対応ができるように指導すればよいわけではありません。

また、問い合わせに対してわかりやすく説明するスキルが必要です。
回答についてもマニュアル化されているケースが大半ですが、それでも本人の説明能力に左右されてしまいます。
そのため、問い合わせ内容に回答することを想定し、プレゼンスキルの指導も含めておくとより良いでしょう。


人材育成プログラムは正しい着眼点を持って策定する

ITサポートのために人材育成をしたいと考えるのは当たり前のことです。
しっかりと人材を育成して、より良いチーム作りをしたいと考えるでしょう。

ただ、人材育成は「人材育成プログラム」を明確にしてから進めるべきです。
行き当たりばったりでの人材育成はおすすめできません。
上記でご説明したような内容を踏まえ、自社に必要な人材育成プログラムを事前に作っておきましょう。

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