ビジネスシーンでは「エスカレーション」という言葉がよく利用されます。
実際に耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
ただ、耳にする機会はあるものの新入社員にとっては正しい意味が分からないかもしれません。
また、誤った使い方をされている場面も多くありますが、エスカレーションは単なる報告という意味ではありませんので、ビジネスシーンで役立てるために正しい意味を理解しましょう。

ビジネスにおけるエスカレーションの意味とは

エスカレーションが「ただの報告」という意味で使われている場面が多々あります。
しかし、正確にはこれは間違った使い方です。

正確なエスカレーションの意味は「業務の下位者が、対応しきれない作業などを上位者に引き継ぐこと」です。
コールセンターでは「問い合わせ内容についてより詳しい人に指示を仰いだり、対応を代わってもらったりすること」を指します。

ビジネスの場ではエスカレーションフローが重要

ビジネスの場でエスカレーションが遅れると、企業にとってマイナスの影響があります。
例えばコールセンターでエスカレーションが遅れると、お客様の質問・疑問を解決するまでに余計な時間がかかってしまいます。
これを防ぐために「エスカレーションフロー」を作成しておくのが一般的です。

エスカレーションフローとは

エスカレーションフローは「誰から誰へどの順番でエスカレーションするか」のフローを定義したものです。
事前にエスカレーション先をフローとして定義しておくことで、エスカレーションが求められる場合にスムーズな対応ができるようになります。

例えばコールセンターのエスカレーションフローは「オペレーター→スーパーバイザー→マネージャー」などの順番になります。
業務の下位者から上位者へ順を追ってエスカレーションしていきます。

エスカレーションフローで重要なのは、事前に細かく定義しておくことです。
実際に必要となる場面を想定し、エスカレーションする人が迷わないような内容とする必要があります。

エスカレーションフロー_イメージ図
エスカレーションフロー イメージ図

ビジネスに役立つエスカレーションフローの作り方

エスカレーションフローで決めるべき観点は以下のとおりです。

  • どの立場からどの立場へとエスカレーションするか(オペレーター→スーパーバイザー など)
  • どの内容をどの立場へとエスカレーションするか(例:利用中の不具合はAさん、初期不良はBさん など)
  • どの手段でエスカレーションするか(例:電話・メール・チャットツール など)
  • どのタイミングでエスカレーションするか(例:対応時間が5分を超えたらスーパーバイザーに報告する など)
  • エスカレーション先に連絡がつかない場合はどうするか(例:Cさんが10分以内に対応できない場合はDさんが代理対応する など)

最低限これらの観点からエスカレーションフローを作成すれば、ビジネスに役立つものとなります。
忘れられやすいのは「タイミング」と「予備のルート」です。
「どの程度の時間でエスカレーションするか」「連絡がつかない場合はどうするか」までエスカレーションフローでは定義しておくことが重要なのです。

エスカレーションフロー_例
エスカレーションフロー 例

社内にエスカレーションを定着させるポイント

上記では基本的なエスカレーションフローの作り方を解説しました。
続いてはフローを含めてエスカレーションを定着させるポイントを解説します。

業務の上位者の負担を減らす

エスカレーションフローを作成すると、業務の上位者はどうしても多くの連絡が集中してしまいます。
つまり、上位者が業務過多になるエスカレーションフローが作成されやすいのです。

このような状況になってしまうと、エスカレーションフローが上手く働かない可能性があります。
そのため、これを避けるために「エスカレーションの対象とならないもの」を規定します。
例えば「○○に関する問い合わせは回数が多いためマニュアル内で完結すること」などとしておきましょう。

エスカレーションのステータスを管理する

エスカレーションした内容がどのような状態にあるのか「ステータス」を管理しましょう。
専用のツールを利用するのが理想ですが、そうでなくともExcelなどでも管理することができます。

「業務の下位者がエスカレーションしたのに上位者は認識していなかった」という事態は往々にして起こります。
それを減らすための取り組みが必要です。

スムーズにエスカレーションできる環境を作る

エスカレーションするかどうかが個々の判断に委ねられてはなりません。
ルールを明確に定義して周知徹底し、全員が同じようにエスカレーションする体制を取りましょう。

また、エスカレーションした人の責任を問わないことも大切です。
エスカレーションする人は「間違っていたらどうしよう」「自分は責められないか」と不安を持っており、そのような不安があるためにエスカレーションが遅れる状況は避けるべきだからです。
万が一間違えていても、とにかくスムーズに報告できる雰囲気・環境を作りましょう。

対応内容を共有する

エスカレーション内容と対応内容をまとめ、ナレッジやノウハウを社内で共有しましょう。
社内Wikiなどのツールを利用し、多くの人が簡単に知れる環境が理想的です。
ツールを利用してデータベース化すれば、同様のケースが発生した際に過去事案の検索が容易になります。
結果、より迅速で的確な質の高い対応ができるようになります。

また、共有された内容には意見できるとなお良いでしょう。
過去の対応に不備はなかったか、より優れた対応があるのではないか、ということを話し合えると望ましいです。

エスカレーションフローは定期的に見直す

社内では人事異動などで役職の変更が発生する場合があります。
また、担当する領域が変更になる場合もあります。
そのような場合、これまでのエスカレーションフローは、もはや役に立つものではありません。
むしろ、エスカレーション先を間違えることで無駄な仕事を発生させてしまいます。
そのため、定期的に見直して最新で正確な内容を保つように意識しましょう。

社内にエスカレーションを定着させるポイント
社内にエスカレーションを定着させるポイント

まとめ

業務を安定的に運用していくためにはエスカレーションが重要です。
オペレーターだけでは対応できない事象は起こりえるものです。
その前提に立つと、スムーズかつスピーディーにエスカレーションするために、エスカレーションフローの作成が必要不可欠です。
事前にフローを作成しておけば、各々がそれに従って行動できます。

ただ、エスカレーションフローを意味あるものにするためには、エスカレーションの意味や重要性を社内全体に周知・理解させることが重要です。
これさえ徹底し正しくエスカレーションができれば、安定的に業務を行えるようになります。