IT・WEBサービスのサポート業務で高い顧客満足度を得るには、「速くて的確な回答」「担当者が変わっても同じことを何度も聞かない対応」「担当者で回答の内容や品質が変わらないこと」などが求められます。
これらを実現できないと顧客の信頼を失い、製品・サービスだけでなく会社自体への信頼も失うことになる可能性があります。
顧客満足度の低下を招くこれらの問題を解決するには、IT・WEBサービスのサポートに関する貴重なノウハウ・テクニックや情報などのナレッジを担当者が共有できるようにナレッジの属人化を防止することが必要です。
そこで、ナレッジの属人化がもたらす弊害、属人化が生じる理由、属人化を防止する方法について紹介します。
IT・WEBサービスサポートのノウハウ・テクニックが属人化する弊害
1.ナレッジの属人化とは
ナレッジの属人化とは、業務を遂行するために必要なノウハウ・テクニックや情報などが、同じ業務を担当する人たちの間で共有されずに特定の人だけが持っている状態のことです。
特にIT・WEBサービスのサポート業務では豊富で高度な機能を持つIT・WEBサービスが多いことから対応しなければならない問い合わせは多岐にわたり、また複数の解決策があることも多くナレッジをテキストで記録し、保存することが困難なためナレッジの属人化はよく発生します。
2.ナレッジの属人化が生じる理由
ナレッジの属人化は以下の理由で多くの企業・組織で発生します。
- 業務の種類によって担当できる人が限定されている
- 能力のある人ほど忙しくてノウハウやテクニックを人に公開・明示・教育する時間がない
- 自分の地位や立場を守るためにあえてナレッジを他人に公開しない
3.属人化で生じる弊害
ナレッジの属人化は以下のような多くの弊害を生み出します。
- 問題の解決方法が分かっているのに、それが周知されていないために無駄な時間が発生する。
- より効果的・効率的な業務の処理方法が分かっているのに、知らずにそうではない処理方法を継続する。
- 特定の業務を遂行するために必要なナレッジを特定の1人が独占していると、その人しか業務を遂行できなくなり、他の人が対応すると効率やスピードだけでなく業務の質も低下する。
- 業務の中身がブラックボックスになって不正やミスの隠蔽(いんぺい)が起こりやすくなる。
- 退職・転職によってノウハウ・テクニックが社内に蓄積されない。
- 正当な業務評価が難しい。
- 対応に時間がかかることや、一貫した回答ができずに顧客や取引先など対外的な信用の失墜につながる。
- 社内全体の能力アップが困難。
- 社内コミュニケーションの悪化につながる。
ただし、標準化が困難な業務や専門性の高い業務ではナレッジの属人化は弊害にはなりません。
4.ナレッジの属人化の防止は必要不可欠
企業を取り巻く環境は、少子高齢化による人手不足、競争激化、社員の働きがいの向上、コンプライアンス遵守、セキュリティ対策など変化も激しく、そのスピードも速まっています。
このような経営環境下では、社員・組織全体の能力アップ、業務の効率化などを阻害し、業務内容を特定の担当者に依存するブラックボックス化など多くの弊害を生み出すナレッジの属人化の防止は不可欠です。
ナレッジの属人化防止の方法
ナレッジの属人化が多くの弊害を生むことを社員に理解させ、ナレッジの共有化をしなければならないことを意識させて、以下のことを実施します。
- 業務の見える化、仕組み化、標準化の徹底
- 分かりやすいマニュアルの作成とその最新情報やよりよい方法を追加するメンテナンスの徹底
- 担当者のスキルを棚卸し、スキルの見える化、スキルの共有化の徹底
- 文書管理システムやコミュニケーションツールなどの情報共有ツールの導入
など
まとめ
IT・WEBサービスのサポート業務では複雑で高度な顧客対応が要求されることから、ケースバイケースのナレッジが多く集まり、ナレッジの属人化が生じやすく、業務効率の低下やサポート品質のばらつき・低下を招きます。
そこで、ナレッジの属人化の弊害と、その防止方法について紹介しました。
ナレッジの属人化を排除してナレッジの共有化を実現し、高い顧客満足度を得るようにしてください。