ナレッジマネジメントとは、従業員が個々に持つ「ナレッジ」を社内で共有したり集約したりする手法を指します。

ナレッジを上手くマネジメントできれば、企業活動において他社よりも優位に立ちやすいと考えられています。
正しくナレッジマネジメントができれば、業務効率化などのメリットが期待できます。

今回はナレッジマネジメントの概要と注目されている背景などを解説します。


ナレッジマネジメントとは

そもそもナレッジとは「個人が持つ知識や知見、ノウハウ」などの「暗黙知」と呼ばれる情報を指します。
広く共有されている情報ではなく、個人が今までの業務などを通じて保有しているスキルだと考えておきましょう。

ナレッジマネジメントでは、この個人が持つナレッジを企業内で共有します。
企業内で情報を適切に管理することは企業活動にメリットがあることだと考えられており、経営手法のひとつと言えます。

なお、ナレッジマネジメントにおいて、どの情報をマネジメントするかは明確に定義されていません。
どのような企業活動をしているかに応じて対象を決定する必要があります。
場合によっては「マネジメントする対象を減らし、有意義なナレッジに力を注ぐ」などの対応も必要です。


ナレッジマネジメントが注目される理由と背景

ナレッジマネジメントが注目されている理由には、「個人の持つ情報の活用」があります。
今までは「仕事のできる人だけが情報を持つ」との考えがありましたが、現在は「全員が情報を持ち同じように仕事ができる」との考えが中心です。

このように情報の活用が注目されている背景には「雇用環境の変化」「働き方改革」「システムによる情報共有」などが考えられます。

例えば現在は終身雇用が当たり前ではなくなってきました。
ナレッジマネジメントをしなければ、ナレッジを持つ人が退社してしまいナレッジが失われる可能性があるのです。
また、働き方改革により残業時間の短縮などが重要視されています。
そのため、ナレッジをしっかりと共有して、誰もが効率よく仕事のできる状況を生み出す必要が出てきています。

個々の持つナレッジは価値のあるものが大半です。
この価値を「企業全体で活かしたい」との考えが、ナレッジマネジメントが注目される根底にあります。


SECIモデルについて

SECIモデルは野中郁次郎教授が提唱するナレッジマネジメントの枠組み(モデル)です。
個人が持つナレッジが、どのような変化を経て組織としてのナレッジになるかを示したものです。

SECIとはそれぞれ以下の言葉の頭文字を取ったものです。

  • Socialization:社会化・共同化
  • Externalization:客観化・外在化
  • Combination:結合化
  • Internalization:内面化


まず、個人のナレッジは個人のものではなく共同・共有のものにする必要があります。
言葉に出したり資料を作ったりして、他人との共有を進めます。
その後、共有された情報を整理したり「結合」したりして、新しいナレッジを生み出します。
複数の情報をひとまとめにすると、より内容の充実した情報になるのです。

そして、整理されたり新しく生み出されたりしたナレッジを、改めて内面化して自分に取り込みます。
他人のナレッジを吸収し、自分のスキルアップを図ります。

なお、SECIモデルは自然と実現されるような考え方ではありません。
企業はナレッジマネジメントの一環として、このモデルを運用できる環境作りが必要です。
例えば「社内の勉強会を開く」「個人に資料を作ってもらいそれを展開する」などの取り組みが求められます。


まとめ

今までは「ナレッジ = 個人が保有する貴重な情報」との認識がありました。
しかし、現在は「ナレッジ = 会社で共有するもの」との考えが広がり、それを実現するためのナレッジマネジメントが注目されています。

ただ、ナレッジの共有は自然と行われるものではないため、管理者が意識的にナレッジマネジメントする必要があります。
SECIモデルに基づき、ナレッジを共有したり新しいナレッジを生み出せたりするような環境を提供しなければなりません。

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