何気なく社内に設置してある電話機。
多くの企業では家庭用電話機ではなく、ビジネスフォンを導入しているのではないでしょうか。

そんなひっそりと存在しているビジネスフォンですが、実は業務効率化やコスト削減には欠かせないものとなっています。
なぜならビジネスフォンには、普通の電話機とは違い、企業が業務を円滑に遂行するために必要な機能が備わっているからです。

この記事では、「ビジネスフォンと家庭用電話機との違いは?」「ビジネスフォン導入に必要なことは?」などについてご説明します。

これからビジネスフォン導入を検討している方はもちろん、すでに社内にビジネスフォンがある方も、改めてビジネスフォンでできること・役割を認識してみてください。

ビジネスフォンとは

ビジネスフォンは、主装置と電話端末を接続することで複数の外線を同時に受け取ったり、保留転送したりすることを可能にする電話システムです。

※主装置とは複数の外線と内線を共有して制御する小型の交換機のことで、容量次第で制御できる電話の台数が決まります。

誰か1人が電話しているだけで他の人が電話を使えなくなってしまったり、別の人に電話を換わりたいのに保留や転送ができなかったりしたら、業務に支障が出てしまいますよね。
そういった不都合を防ぐために、ビジネスフォンが存在するのです。

ビジネスフォンの4つの機能

ビジネスフォンには、代表的な4つの機能があります。
それぞれについて見ていきましょう。

1.代表組

代表組のイメージ
代表組のイメージ
代表番号が通話中でも発着信ができる
代表番号が通話中でも発着信ができる

代表組とは、複数の電話回線をグループ化する機能です。

これによって、代表番号が使用中に着信があった際も、グループ内の空いている回線に着信させることができるようになります。

代表組がないと、代表番号で誰か1人が通話している間、他の人は同じ電話番号で発信も着信もできなくなってしまいます。

2.ダイヤルイン

ダイヤルインのイメージ
ダイヤルインのイメージ

ダイヤルインは、1つの電話回線に対して複数の電話番号を付与する機能です。
ダイヤルインのメリットは、直通番号で発着信できることです。

代表番号に電話がかかってくる度に窓口担当者が適切な部署に取り次いでいたのでは、手間も時間もかかってしまいます。
ダイヤルインを使用して各部署に直通の電話番号を付与すれば、取り次ぎの手間と時間を削減でき、業務を効率化することができます。

また家庭用電話機では1回線につき1つの電話番号しか契約できませんが、ビジネスフォンではダイヤルインを利用することができます。
電話番号を取得するために回線を契約する必要がないので、コスト削減にもなります。

さらに代表ダイヤルインの機能を使えば、必要な電話だけを受け取ることも可能になります。

着信する電話番号を設定できる
着信する電話番号を設定できる

3.内線通話

内線通話は、同じ主装置同士の電話で通話できる機能です。
内線通話は外線通話と違い、通話料が発生しないことが特徴です。

社員同士のやり取りをわざわざ外線通話で行うのは費用の無駄ですし、とは言えコスト削減のために別のフロアの社員に声をかけに行くのも、時間の無駄です。

家庭用電話機では内線通話を使えませんので、ビジネスフォンを使うだけで、コスト削減業務効率化に繋がっていると言えます。

4.保留転送

保留転送とは、外線通話を一度保留状態にして、内線通話で呼び出した相手に電話を取り次ぐことです。
以下の手順を踏むだけで移動することなく、離れた席・フロアの人にも電話を取り次げます。

1.通話を保留する
2.担当者の内線番号へ電話をかける
3.保留している外線番号と、誰からかを伝えて電話を切る
4.担当者は外線番号を押して通話を開始する

普段当たり前に利用している保留転送ですが、これも代表組やダイヤルイン、内線通話ができるビジネスフォンだからこそ使える機能です。

ビジネスフォンと家庭用電話機との違い

家庭用電話機は、電話線を電話機へ直接つなげます。
電話番号1つに対して、1台の電話機で発着信するイメージです。

したがって、もう1台電話機を買っても同じ電話番号では発着信できません。
電話機を2台使いたい場合、回線をもう1つ増やさなければいけないのです。

そして回線は1本ごとに契約料が発生しますので、2本にすると倍の費用がかかります。
通話料もそれぞれで発生します。
また、保留して別の電話に転送することもできません。

これに対してビジネスフォンは、電話機本体ではなく主装置が各電話機を制御します。

そのため1つの回線でも複数の電話機で発着信が可能となり、代表組やダイヤルイン、内線、転送といった様々な機能を使うことができるのです。

ビジネスフォンを導入する3つのメリット

では、ビジネスフォンを導入することで、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか?

1.コスト削減

家庭用電話機では複数の電話機を設置した場合、それぞれの電話回線を契約しなければいけません。
例えば電話機を3台違う部屋に設置した場合には、3回線分契約する必要があります。

対してビジネスフォンは1つの電話回線を複数の電話機で共有できるため、電話機が複数あっても回線は最低限1つ契約すれば済みます

さらに内線通話は通話料が発生しません。
このことから、家庭用電話機と比べてビジネスフォンは、固定コスト・通信コストが削減できるのです。

2.業務効率化・生産性向上

先述した通り、家庭用電話機は1台につき1回線分の電話しか受けられません。

例えば代表番号に営業担当者宛ての電話がかかってきた場合、営業担当者は代表電話を契約している電話機まで移動して、電話に出なければいけないのです。

一方ビジネスフォンなら、保留した電話を受電したのとは別の電話機でも出られるため、移動する必要がありません

たいした手間ではないように感じるかもしれませんが、積み重なると影響力の大きさが分かります。
移動にかかる時間が片道3分だとすると、往復では6分、10回繰り返すと1時間にもなります。
1時間もあれば、他の業務を終わらせたり、より業務の品質を上げられたりしたかもしれません。
さらに電話の度にいちいち席を離れていたのでは、集中力も続きません。

これらをビジネスフォンで解決することで電話対応が効率化され、業務の効率化・生産性向上につながるのです。

3.社員エンゲージメント向上

非効率で不便な業務は、もしかしたら社員の不満の一因になっているかもしれません。

特に電話対応は頻度が高く、ほとんどの社員が関わっている業務です。

ビジネスフォンの導入によって電話対応を効率化・利便性向上させれば、社員のエンゲージメント(信頼感・愛着心)を高めることも期待できます

社員エンゲージメント向上の効果も
社員エンゲージメント向上の効果も

ビジネスフォンを選ぶ際の3つのポイント

現在は家庭用電話機で間に合っている事業者様も、将来会社や事業の規模が大きくなれば、ビジネスフォンの導入を検討することになります。
導入時は、以下3つのポイントに注目してください。

1.台数・同時接続数を想定しておく

設置台数や同時接続数は、将来人員が増えるかどうかを見越しておくことが重要です。

増設可能なタイプのビジネスフォンを選んでおくことで、人員が増えて増設する際も買い替える必要がなくなるからです。

導入台数と同時接続数の目安は、一般的に以下のように言われています。

● デスクに対して1台の電話機を置く場合が多いので、導入台数はデスクの台数を目安にする
● 従業員数の3分の1を目安にして、同時接続数(外線数)を決める

2.必要な機能とスペックを確認する

基本的な機能(保留や転送、留守番電話など)はどのビジネスフォンにも標準搭載されていますが、業種や業態、オフィスの環境によって必要な機能とスペックが変わってくることもあります。

近年では基本的な機能以外にも、以下のように便利な機能もあります。

● 通話モニター(通話内容を聞きながら新人教育などに使う)
● 会議通話(他の拠点の複数人と会話する)
● リモートコールバック(外出先から会社の番号で電話する)
● IVR(音声ガイダンスで担当部署まで誘導する)

必要な機能を事前に確認してからビジネスフォンを選択することで、体制変更や事業拡大などにも迅速に対応できます。

3.業者選びは慎重に

どのビジネスフォンを選ぶかも大切ですが、どこで購入するかも同じくらい重要です。

価格が安いという理由で購入先を決めてしまうと、購入してみたら不良品だったり、アフターフォローがなかったりする場合があるからです。

安心できる業者の見極め方については、以下を参考にしてください。

● 工事実施に必要な免許を保有しているか(国家資格である「工事担当者」を保有している人が実施もしくは監督しているか)
● 見積内容が詳細に記載されているか(「工事一式」や「器具一式」のように内訳が記載されていない場合がある)
● 事前の下見や打ち合わせをしっかり行っているか
● 担当者の応対は適切か(レスポンスの早さなど)

ビジネスフォンの購入先を選ぶ時は、アフターサポート体制を特にチェックしましょう。
保守点検での訪問頻度や定休日の有無、購入業者の拠点(立地)なども確認しておくとベターです。

ビジネスフォン導入時の注意点

最後に、ビジネスフォン導入時の注意点を見ていきます。

工事について

ビジネスフォンを導入する際は、主に「回線工事」と「電話工事」が発生します。

回線工事

まずは電話回線の設置(回線工事)が必要です。
回線工事は、以下のケースで発生します。

● ビジネスフォンを新規で設置する場合
● オフィスのレイアウト変更や電話機を増設する場合
● レイアウト変更や増設によって入り乱れた配線を整備する場合
● 電話機を撤去する場合

電話工事

回線工事が終了したら、以下3つの電話工事が必要です。

● 主装置やPBX(電話交換機)などの設置工事
● 主装置と各電話機をつなぐ配線工事
● 各フロアや所定の位置への電話機設置工事

工事にはある程度時間もかかりますので、「いつ頃までに導入したい」という要望がある場合は、そこから逆算して早めにスケジュールを決めましょう。

費用について

ビジネスフォン導入に際しては、機器本体の費用と工事費用が発生します。

機器本体の費用相場は、以下の通りです。

項目費用相場
電話機(新品)15,000円~40,000円
電話機(中古)4,000円~12,000円
電話機(リース)月額3,000円~12,000円
PBX100,000円~300,000円

工事の費用相場は以下の通りで、電話機1台あたりに換算すると1万円~2万円前後となります。

項目費用相場
電話機の搬入・設置3,000円~5,000円
PBX設置2,000円~3,000円
配線工事1mあたり500円~800円

電話機については、「安く買えたと思ったら(新品が欲しかったのに)中古品だった」ということもありますので、注意してください。

ちなみにビジネスフォンには、使用期限がありません。
法定耐用年数は5~6年ですが、使い方次第で耐用年数以上使えます。

購入かリースか

ビジネスフォンは、購入以外に「リースする」という選択肢もあります。

リース契約には、以下のメリットがあります。

● 初期費用を安く抑えられる
● 購入時に必要な事務処理の手間が不要

逆に以下のようなデメリットもあります。

● 購入した場合と比べて、支払い総額が高くなることが多い
● 途中解約できない

ビジネスフォンを購入するかリース契約にするかは、自社の環境に応じて適切に判断してください。

まとめ:ビジネスフォン導入は業務効率化や生産性向上に必須!

いかがでしたか?

個人事業主様や少人数の企業様などは、家庭用電話機を利用していることも多いかもしれません。
しかし将来社員数が増えたり、事業を拡大したりすることを見越すとビジネスフォンは企業にとって必要不可欠なものです。

ビジネスフォン導入の際は、ぜひ当記事を参考にしてください。

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