顧客サポート部門のマネージャーやスーパーバイザーは、部下を育成する義務があります。
社外セミナーを取り入れることも効果的ですが、読書でも知識が得られます。
率先して部下を指導する立場の社員が本を読み、読み終わった本は部下に貸したり、勉強会を行ったりするとよいでしょう。
とはいえ「どんな本を読めばいいの?」という方のために、顧客サポート業務に携わる人が読んでおきたい5冊の書籍を紹介します。
「コミュニケーション100の法則」伊藤守著(ディスカバー・トゥエンティワン)
CDジャケットサイズの詩集のような本です。
余白が多く、短い言葉で綴られていますが、心に響く珠玉の知恵が詰め込まれています。
たとえば「コミュニケーションはキャッチボール。コミュニケーションはドッジボールではない。」は、話すだけではなく聞くことが大切であり、相手の受け取れない玉は投げない、という法則です。
仕事を含めて、あらゆる人間関係のコミュニケーションで悩んだときに開きたい一冊。
「シンプルに書く! 伝わる文章術」阿部紘久著(飛鳥新社)
シンプルな文章を書くための実践的な本です。
メールサポートで問い合わせに応答しようとすると長文になりがちです。
しかし、必要のない言葉をできる限り削ると伝わりやすくなります。
たとえば削除すべき言葉は「という」「こと」、「そして」「また」のつなぎ言葉、重複する内容など。
1つの段落は平均150~200字で書き、述語を早く示す短文がよいと指摘しています。
箇条書にしたり、改行を多く入れたり、文章を読みやすくする視覚的なテクニックも触れられています。
「イラッとされないビジネスメール 正解 不正解」平野友朗著(サンクチュアリ出版)
冒頭に「ビジネスメール実態調査2016」の抜粋が掲載されています。
調査によると、不快に感じたビジネスメールは「文章があいまい」35.84%、「文章が失礼」34.04%とのこと。
あいまい、失礼、情報不足、読みづらい、攻撃的などのイラッとする要因の具体例を挙げ、不快にならない書き方を解説します。
あいさつから、敬語、行間の空け方、引用、どこまで気配りをするか具体例を添削。
文例集付きです。
「聞くスキル聞き出すスキル 顧客の心理を読み解く」藤木健著(リックテレコム)
コールセンターのマネージャーやスーパーバイザーの必読書といえば、この本。
ベルシステム24に勤務していた著者が、現場体験から「きくスキル」を8つに分類して解説。
実務から紡ぎ出したノウハウは説得力があります。
8つの「きくスキル」とは、あいづち力、復唱力、語彙(ごい)力、要約力、沈黙力、質問力、音声表現力、心情察知力です。
トレーニング方法と対処方法の詳細な事例は、そのまま研修の教科書に活用できます。
「アンガーマネジメント入門」安藤俊介著(朝日新聞出版)
クレーム対応では、カッと怒りがこみ上げることもあるでしょう。
上司や部下の言動に、カチンとくることがあるかもしれません。
この怒りをコントロールする方法を、論理的かつ具体的に整理した本です。
怒りのコントロールは「認識の修正」と「行動の修正」によって行います。
アンガーログという怒りの記録を付け、客観的に自分が怒りやすいパターンを発見します。
数種類の方法が挙げられていますが、「24時間アクトカーム」は、どのような感情が生じても表面上は穏やかにふるまうことです。
実践してはいかがでしょう。
まとめ:読書は実践してチカラになる
セミナーで「学んだ」、本を「読んだ」だけでは効果がありません。
知識は現場で実践してこそ意義があります。
「これは!」という本があれば、一読をおすすめします。