コンタクトセンターを支えている人材は、多くの女性オペレーターたちです。
しかし、子育てや家事のために、フルタイムの勤務に難しさを感じている人が多いのではないでしょうか。
在宅勤務の導入を検討しているサポート部門のマネージャーが、知っておきたい技術面のキーワードを解説します。
政府主導の「働き方改革」で在宅勤務(テレワーク)が見直されています。
ところが現状として、在宅テレコミュニケーターを採用しているコンタクトセンターは、あまりありません。
一般社団法人日本コールセンター協会(CCAJ)によると、在宅テレコミュニケーターを「既に採用」の企業は55社のうち4社、「予定あり」は4社どまり。
「予定なし」が45社つまり81.8%です。導入しない理由は、セキュリティの問題を筆頭として、労務管理や品質管理が挙げられています。
(『2016年 テレマーケティング・アウトソーシング企業 実態調査』)
情報漏えいの多くは人的要因によって引き起こされます。
未然に防ぐためには、徹底した人材教育とセキュリティ対策を万全にしたシステム構築が求められます。
しかし万全の体制を整えたなら、チャットやメールによるサポートなら在宅でも業務を行えるはずです。
人材不足を補い、ストレスのない働き方として期待できるのではないでしょうか。
いつものデスクトップ環境で端末にデータの残らない「VDI」
効率化とセキュリティの面で普及しつつある技術が「VDI」です。
「VDI(Virtual Desktop Infrastructure デスクトップ仮想化)」は、クラウド上でソフトウェアはもちろんデスクトップ環境まで提供します。
つまり貸与したノートパソコンにデータが残らず、持ち出すことができません。
富士通では、約8万人を対象に自社のVDIソリューションを導入。
ワークスタイルの変革に取り組みました。なりすまし対策には、手のひらの静脈をセンサーにかざして認証させる技術も取り入れています。
コミュニケーションを見守り、品質を維持する「メール共有システム」
電話オペレーターは研修などの対面で教育を行いますが、メールサポートであれば、テンプレート化した文章を使うだけで教育時間を短縮、軽減できます。
Webブラウザで応答の履歴を遡り、複数のスタッフによる対応、情報の共有も簡単です。
二重返信を防ぐ機能で事故防止にも役立ちます。
複数の応答をこなして自動化も可能な「チャット」「チャットボット」
最近、人工知能でサポートする「チャットボット」を導入する企業が増えました。
テキストで対話するチャットサポートも、在宅勤務に適しています。
頻度の高い問い合わせは、まずチャットボットが自動的に応答し、既に用意されたFAQに誘導させることでオペレーターの負荷を軽減できます。
ボットで解決できない問題のみ、オペレーターが回答するようにします。
顧客が書き込みをしている間に、複数の問い合わせを同時並行で回答できることもチャットのメリットです。
スマートフォンを内線化、外線化できる「クラウドPBX」
PBXは電話交換機のことです。
在宅オペレーターのスマートフォンを内線化し、固定電話の電話番号でも使用できるようにするシステムが「クラウドPBX」。
クラウドのため物理的なコストがかからないこと、繁忙期に合わせて回線数を柔軟に増減できるメリットがあります。
まとめ:ICTの効率的な活用を
今後、サポート業務の円滑な運営には、在宅勤務やAIなどの先端技術など多様な側面からの検討が必要になるでしょう。
ICTに任せられる部分はゆだねた方が効率的です。
在宅勤務の導入においても、人材教育とシステム構築の両輪をうまく回すことがコツです。