前回の記事では、メール対応の難しさと特徴についてお話しさせていただきました。
今回はそれらの特徴を踏まえて、どのようにメール対応の準備を進めていけば良いのか、その基本的な事柄を確認しましょう。


テキストコミュニケーションの得意は人材をアサインする

メールコミュニケーションの特徴の1つは「テキストによるコミュニケーション」です。
従って当たり前かもしれませんが、文字コミュニケーションが得意な人材を対応スタッフにも管理者にもアサインする必要があります。

当たり前のようなことなぜ記すかと言いますと、例えばコールセンターでの対応品質が優れているスタッフが文字コミュニケーションも優れていると誤解して、安易にメール対応スタッフにアサインしてしまうケースがあるからです。

電話とメールのコミュニケーション能力は、ある部分は共通していますが、その他の部分はそれぞれ独自のスキルです。
電話対応能力に優れたスタッフがメールでの対応能力にも優れている可能性は高いのですが、逆に文字によるコミュニケーションが極端に下手な場合もあります。
安易にアサインせずに事前に適正テストなどを行って、文字コミュニケーションスキルを客観的把握しましょう。


返信リードタイムの目標値を設定する

電話中心のコールセンターでは、「応答率」が最も代表的な管理指標で、多くのサポートセンターで応答率の目標値を設定しています。

メール対応の場合は、原則リアルタイムに応答することがありませんので、応答率という概念は管理指標としてはあまり重要ではありません。
代わって重要となるのが「返信リードタイム」です。
仮に応答率を計測するとすれば、発生したメールに対して、スパムメールや間違いメールなどを除いた問い合わせメールに対しては原則全件対応しますので、応答率は100%に近い数値になります。

メールにおける応答率はこのような状態ですので、課題となるのは返信までの時間、返信リードタイムです。

リードタイムが短ければ短いほど顧客満足度が高くなることが各種調査で明らかになっており、多くのメール対応センターで最も重要な管理指標として「返信リードタイム」を採用しています。

具体的にどのぐらいの時間を目標値と設定すべきかは、取り扱うサービスや商品の内容、センターのミッション、
体制やコストなどによって大きく変わります。
メールを受信してから2~3時間程度としているところもあれば、24時間や1営業日以内などとしているところまでさまざまです。
自社の目標値に関しては上記の要素などを考慮して適正な目標値を多角的に判断する必要があります。

また、前述とは一見矛盾しますが、あまりにも返信が早すぎると却って満足度を下げる結果になるケースもあることを認識しておきましょう。
例えばたまたま余裕があり数十分程度間隔で何度かやり取りしてしまうと、お客さまはそのペースで返信が来ると思い込み、いざ通常のリードタイム(例えば3時間後)に返信すると「返信が遅い!」と感じられてクレームになる可能性があります。
上記は極端な例ですが、それでも前回の問い合わせが非常に早いタイミングで帰ってきた場合、同程度のレスポンスを期待するのは人の心理としてはごく当たり前のことです。

従って最善は「なるべく早く、しかもいつもコンスタントなタイミングで返信する」ことです。
そのために運用上は、全体の平均的な返信リードタイムと共に個々のリードタイムのバラつきも管理する必要があり、それを考慮した目標値を設定することが必要です。


メール対応に適した体制と役割

メール対応では、実際に対応するスタッフの役割は、ほとんど変わりありません。
しかしながらSVなどの管理者の役割は変化します。

電話中心のコールセンターでは、発生する電話の「呼(コール)」の発生状態を把握し、リアルタイムで適切な人員配置やジョブの振り分けなどの判断を下す必要がありましたが、メールの場合はリアルタイムでのメールの発生に関しては管理する必要がありません。
むしろメールインシデントの全体像を把握し、どのように対応すれば品質を維持しながら全体的に効率良く対応できるかを判断するのが管理者の主な役割になります。

また、現場を管理するSVなどの管理者の人数は、一般的に電話中心のセンターよりも多く必要だとされており、5名~10名に1名の割合のSVが理想だと言われています。