電話によるクレーム対応は、ストレスの溜まる仕事です。
しかし、本当に企業や製品に愛想をつかしたお客様は何も言わずに立ち去ります。
クレームの電話をかけたお客様には、まだチャンスが残っています。
購入頻度や利用金額の高いお客様が、何かのきっかけでクレーマーに転じることもあります。
大切なお客様を失うピンチをチャンスに変えるには、担当者の適切な対応が必要です。
クレーム自体が企業にとって貴重な提言であることを、忘れないようにしましょう。
電話はもちろんメールやチャットも加えて、クレームの対応と活用法を解説します。
お客様の言葉を復唱する
電話で「手強いクレームだ!」と感じたときは、最初が肝心。
まずお客様の言葉を必ず復唱します。
「サイトに書いてあったように美味しくなかったぞ!」であれば、「申し訳ございません。商品の味にご満足いただけなかったのですね」という風に。
復唱は相手が伝えたいことを明確化するとともに、無意識のうちに好感度をアップさせる「ミラーリング効果」があります。
心理学の用語ですが、相手の言葉を繰り返すことにより安心感を促します。
チャットやメールでは、定型化した謝罪に「お客様がご期待されていた味にそぐわなかった点をお詫びいたします」のような具体的な言葉を入れて、カスタマイズするとよいでしょう。
チャットの場合、「お問い合わせは、商品の味について、でよろしいでしょうか」のように対話をテキストで残しておくと、データのタグ付けに活用できます。
言い訳はNG、傾聴に徹する
一方的なクレームを聞いていると「いや、私どもでは」などの言い訳をしたくなります。
しかし、相手の言葉をさえぎる言い訳はNGです。
お客様には「話を聞いてほしい」願望があるからです。
「傾聴」に徹します。
日本年金機構の「コールセンターお客様満足度調査」(2013年1月実施、有効回答数6,700)では、オペレーターが傾聴して的確に内容を把握したかという設問を設けています。
「満足」「ほぼ満足」の回答はおよそ83.5%で、傾聴に満足していることが分かります。
傾聴を推し進めると「ご不満な点を具体的お聞かせください」「差し支えなければ他社の製品で美味しいと感じられた商品がございますか」のような質問を加えて、商品開発のマーケティングリサーチに役立てることも可能です。
コールセンターの業務では、インバウンドコールとアウトバウンドコールを別部署で担当することが一般的です。
しかし、問い合わせの電話から「お客様のご要望なら、こちらの製品もございますが?」とアップセル/クロスセルに展開すれば、販売の拡大にも貢献できます。
VOCの全社的な情報共有を
お客様の生の声(Voice Of Customer:VOC)は貴重なデータです。
全社的に情報を共有して有効に活用しましょう。
NECが提供している「お客さまの声」データ活用調査レポート(2015年10月実施、有効回答数413)では、収集されたVOCの約半数は音声データのまま保存され、「音声データのまま困っている」「部門共有ができない」という課題を挙げています。
商品開発やマーケティング部門では、お客様の生の声を活用したい要望があります。
ところが音声データをテキスト化する人員や時間がないため、せっかくのVOCも企業活動に反映することが難しい状況です。
これでは同じクレームが繰り返されます。
しかし、メールやチャットであれば、キストによる応答なので、情報の共有が容易です。
まとめ:クレームを商品やサービスの改善に役立てること
クレームは決して「トラブル」ではありません。
むしろ、お客様の生の声を収集する貴重な機会です。
商品やサービス改善のヒントを探るチャンスとして、傾聴を心がけてみましょう。