カスタマーサービスの重要性が高まっていることから、企業経営にカスタマーサービスがなぜ重要で必要か、カスタマーサービスの概要、ミッション、カスタマーサービスを成功させるために必要なスキルについて解説します。
カスタマーサービスの重要性・必要性
現在の顧客(消費者)は、企業が提供する製品やサービスの性能・機能・価格が優れていても、それらを使ったときに得られる使用価値が実感できない場合や、その価値に対して支払う価格が不釣り合いだと判断した場合、簡単に購入しなくなっています。
そのため、顧客に製品やサービスの使用価値が高いことを理解してもらえるように伝えることの重要性が増しています。
しかし、ホームページやカタログなどで、いくら性能・機能・価格を訴求しても、顧客の使用価値は同じではないため、一律的な訴求ではすべての消費者にうまく伝えることが困難です。
うまく伝えるにはカスタマーサポートを含むカスタマーサービスを通じて、顧客の一人ひとりに合ったアプローチで製品やサービスの使用価値を伝え、あわせて購入後の顧客満足度を高めることが必要です。
カスタマーサービスとは?
カスタマーサービスとは、製品・サービスを利用する顧客のカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を最大化することで、顧客と企業との関係を良好かつ緊密にする目的で行うすべての顧客対応のことです。
これにより、顧客と継続的・長期的な関係を構築する目的を担います。
つまり、単に製品やサービスの購入後の使い方などを支援するカスタマーサポートよりも広い概念で、製品やサービスの購入前、購入検討中、購入後を問わず顧客満足度を高めるための企業全部門での活動を意味します。
カスタマーサービスのミッションと企業に与える影響
1.カスタマーサービスのミッション
カスタマーサービスのミッションは、顧客へ自社製品やサービスについて顧客ごとに異なる使用価値をうまく伝え、顧客のカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を最大化し、顧客満足度を高め、これにより事業活動を維持・発展させることです。
そのためには、「顧客中心主義(顧客目線)思考による対応」「顧客の潜在要望の吸い上げと関連部門への伝達」「問い合わせやクレームへの迅速な対応」などが必要です。
2.カスタマーサービス力の向上が企業に与える影響(メリット)
企業がカスタマーサービスによって顧客満足度の向上に成功すると、以下の影響(メリット)が得られ、結果として企業収益を向上・維持・安定させられます。
2-1.顧客の囲い込みによるリピーターの増加
顧客はその企業、ブランド、製品、サービスに高い満足を示すとファンになり、他社差別化ができて継続的な購入が期待できます。
2-2.SNSなどによる口コミで新規顧客の増加
自社の製品やサービスの高評価を口コミ発信してもらいやすく、その結果、信用度が高く新規顧客へその使用価値を強力に伝えられます。
企業が発信する情報は、良い点だけを訴求していると顧客は感じているため、製品やサービスの良さがストレートには伝わりにくくなっています。
しかし、実際に使用している顧客の口コミ情報は高い信頼性があるため、使用価値を具体的に伝えられて新規顧客の獲得を増やせます。
2-3.企業や製品・サービスのブランドイメージの向上
顧客満足度の高さはブランドに対する信頼の高さとイコールです。
このブランドに対する信頼の高さが口コミ情報によって発信され、それが多くなると雑誌やテレビなどのメディアに取り上げられます。
さらに、それらを利用した企業の情報発信(メディア戦略)をミックスすることで、非常に強力にブランドイメージを高められます。
カスタマーサービスを成功させるために必要なスキル
カスタマーサービスを成功させるには、
- 顧客目線で考えられること
- 顧客に信頼されること
- 顧客が期待すること以上の対応ができること
- 顧客を心地よくさせられること
- 顧客の顕在的な願望・不満の裏にある潜在的な欲望・真の意図を聞き出せること
が重要です。
そのためには、以下のスキルが必要です。
- コミュニケーション能力
- 迅速で、ていねいな対応力
- 顧客目線での柔軟な思考力・対応力
- 正確で、的確な情報の伝達力
- 顧客の真の課題発見力と解決力
- 顧客の願望・不満の裏の心理を考えられる推理力
- 顧客情報の収集と管理・共有能力
まとめ
企業目線による情報発信では顧客の信頼を獲得することが厳しく、また企業の製品やサービスに大きな差がない現代においては、顧客満足度を高めるビジネス戦略が欠かせません。
そして、顧客満足度を向上させるにはアフターサービス力の向上が不可欠です。
アフターサービスによる顧客満足度の向上には営業部門以上にサポート部門が果たす役割が大きくなっています。
そのため、全社的なアフターサービス体制を構築し、サポート部門がその中心となって推進していくことが、これからの企業経営に強く求められています。