メール対応には、文章の「読解力」と「表現力」の両方のスキルが必要です。

いくら業務知識が豊富なスタッフでも、お客さまの要望や疑問点などを正しく認識できなければ、正しい返答を導き出すことができません。
従ってメール文の主旨や意味を正しく理解するための文章読解力がまず備わっていなければなりません。
そして、分かりやすく誤解のないような文章で表現できる能力がなければ、いくら正しい回答を導き出してもお客さまに真意が伝わりません。

今回はメール対応の際にポイントとなる文章の読解力と表現力について解説します。


「文章読解力」-早合点せずに客観的に何が起こっているかを理解する

メール対応での文章読解力とは、「お客さまにどのようなことが起こっているのかを理解する能力」と言い換えることができます。
すなわち自分たちの思い込みなどで勝手に判断せずに、メール文章から客観的に事態を把握することです。
さらに、お客さまからのメールにすべてのことが書かれているわけではありませんので、できるだけさまざまな事態を想定して対応することも重要です。

例えば、コンタクトセンターなどではその業務特有の発生頻度の高い問い合わせがあり、十分に確認せずについそのケースに当てはめてしまって回答や対応をしてしてしまうことがあります。
いわゆる”思い込み”による対応です。

ある企業では、商品の領収書を発行せずに「納品書兼領収書」として商品と同梱しているために、いつも一定以上「領収書を発行してほしい」との要望が発生します。
通常は「領収書は納品書兼領収書として商品に同梱している」ことを回答すれば解決しますが、中には納品書兼領収書自体が同梱されておらず同様の要望するお客さまもおられます。

このような状況で一般的な回答をしてしまったのでは、問題が解決できないどころかお客さまの感情を害してしまう恐れもあります。

「お客さまが使う言葉」はさまざまです。
電話対応の場合なら「納品書兼領収書が入っていませんでしたか?」とその場で確認できませすが、メールの場合はそうはいきません。

このような場合は、納品書が領収書を兼ねていることをご存知ないか、納品書兼領収書が同封されていないか両方の事態を想定して、「通常は納品書兼領収書が入っているのでそちらを確認/使用してほしい」、「納品書兼領収書自体が入っていないのなら(至急)対応するのでお手数ですが再度連絡してほしい」の2通りの状況に対応できる回答しておくべきでしょう。

また、事実を把握した上で、お客さまが実際に何に困っており、何を望まれているのかを「行間を読んで」感じることもメール対応における重要な読解力の1つです。


「文章表現力」-お客さまに分かりやすい表現とは?

次に必要なことは、回答をお客さまにいかに分かりやすく誤解のないように伝えるかということです。
メールの場合は、「形式」と「内容」の両面からのアプローチが必要です。

読みやすいメールの形式にするためには、例えば1センテンスや1行の長さを長すぎないようにしたり(1センテンス50字程度、1行20-30字程度以下が適当と言われる)、1センテンスに複数の事柄を盛り込まないようにしたりすることがポイントです。
また、改行や段落、インデント、箇条書きなどをうまく活用して見た目や流れをスッキリとすることで、同じ内容の文章であっても読み手側は随分読みやすくなります。

内容についてはどうでしょうか?
具体的な回答内容等については業務によって異なりますが、それを「分かりやすくどう伝えるか?」に関しては共通する部分も多くあります。

まず重要なのは、結論や結果を先に伝えて、経緯や詳細の説明をその後に続けるという構成にすることです。
ビジネス文書では基本の構成だとされていますが、メール対応でも同様の構成がお客さまにとって分かりやすくなります。
次に5W1Hを意識し、伝えたいことがお客さまに具体的かつ客観的に伝わるように表現することが必要です。

さらに、できるだけ少ないやり取りで問題が解決するような工夫をしましょう。
例えば「入会方法について教えてほしい」との問い合わせに対して、「入会はパソコンからか店舗で行うのか?」と単純にお聞きするだけではなく、「パソコンからならホームページのこの箇所から手続きできること、店舗なら近隣店舗がホームページのここから確認でき、営業時間は○時から○時であること」までをお伝えすることで、お客さま自身で状況に従った判断ができるようになり、早期解決につながります。

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