近年、多くの企業でカスタマーサポートにAIを活用する事例が増加しています。

「人手不足を解消したい」「顧客満足度をあげたい」など、理由はさまざまですが、
この動きはこれからも加速していくことでしょう。
また、顧客側も「すぐに回答してほしい」「営業時間外でも問い合わせたい」といったニーズを満たせるという点がメリットです。

AIを活用すれば、問い合わせ対応の効率化やオペレーターの負担軽減などが期待できます。一方で、すべての問い合わせをAIだけで解決できるわけではありません。

運用方法によっては、逆に顧客満足度の低下につながる恐れもあります。

そのため、AIの強みだけではなく、注意点や適切な活用方法を理解したうえで導入を進めることが重要です。

本記事では、AIをカスタマーサポートに導入するメリットや注意点、さらにAIと有人対応を組み合わせるポイントについて詳しく解説します。

▼ AIがカスタマーサポートで注目されている理由

AIがカスタマーサポートで注目されている理由としては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • カスタマーサービスの人手不足
  • 問い合わせの増加
  • 問題解決までの時間短縮

近年は人手不足や問い合わせ件数の増加を背景に、カスタマーサポートの負担が大きくなっています。特にECサイトやSaaSサービスの普及により、電話だけでなくメールやチャット、SNSなど問い合わせ窓口が多様化し、対応業務はますます複雑になっています。

一方で、顧客は「知りたいことをすぐに解決したい」という意識が強くなっており、待ち時間が長かったり、回答まで数日かかったりすると、顧客満足度の低下につながるケースも珍しくありません。

こうした課題を解決する手段として、現在はAIが有効です。
近年ではAI技術の精度も向上しており、自然な文章で顧客とやり取りできるサービスも増えています。そのため、大企業だけでなく中小企業でもAIを導入するケースが増え、カスタマーサポートの新たな選択肢としても注目を集めています。

▼ カスタマーサポートにAIを導入するメリット

ここでは、カスタマーサポートにAIを導入するメリットをより具体的に紹介します。
AIの導入を検討している方は、メリットと注意点の両方を把握しておくのがおすすめです。

・24時間365日対応できる

AIを導入する最大のメリットは、営業時間や休日に関係なく、24時間365日問い合わせに対応できる点です。
深夜や早朝に問い合わせをしたい顧客にも対応でき、必要な情報をすぐに得られるため、顧客満足度も向上します。

また、海外との取引がある企業では、時差の影響を受けにくくなることもメリットです。
営業時間外に発生した問い合わせもAIが一次対応を行うため、重大な要件を取りこぼすこともなくなり、取次ぎもスムーズに行えます。

企業側にとっても、営業時間外の問い合わせ機会を逃しにくくなり、顧客満足度の向上や機会損失の防止につながります。

・オペレーターの負担を軽減できる

AIに業務の一部を任せれば、オペレーターの負担を軽減できます。

カスタマーサポートには、配送状況の確認やパスワードの再設定方法など、繰り返し寄せられる問い合わせが数多くあります。
このような定型的な質問をAIが担当することで、オペレーターは個別対応が必要な案件や複雑な相談に集中できるようになる点が大きなメリットです。

結果として業務効率が向上し、残業時間の削減や人材不足の解消にもつながります。また、担当者が余裕を持って対応できるため、より質の高い顧客対応を実現しやすくなるでしょう。

・顧客データを蓄積・分析できる

AIを活用することで、問い合わせ内容や対応履歴、顧客の行動データを継続的に蓄積できます。

蓄積したデータを分析することで、「どのような質問が多いのか」「どの商品に関する問い合わせが増えているのか」といった傾向を把握しやすくなります。

分析結果はFAQの改善だけでなく、商品やサービスの改善、新商品の企画、マーケティング施策など幅広い分野で活用できる点もメリットです。

顧客の声をデータとして生かせれば、製品開発や改良にも役立つでしょう。

・対応品質を均一化できる

AIはあらかじめ設定されたルールやデータに基づいて回答するため、誰が問い合わせても一定品質の回答を提供できる点もメリットです。

有人対応では、担当者によって回答内容や説明方法に差が生じ、それがトラブルに発展するケースもあるでしょう。

対応品質が安定することで、顧客は安心して問い合わせができるようになります。
また、新人教育の負担軽減や対応品質の標準化にもつながるため、企業全体のサービスレベル向上にもつながります。

▼ AI導入の際に注意したいポイント

AIを導入する際は、注意点もあります。
特に、AIは何ができて何が不得意なのかを把握しておくことが重要です。
ここでは、AIを導入する際の注意点を紹介します。

・複雑な問い合わせには対応できない

AIは定型的な問い合わせへの対応を得意としていますが、すべての相談に対応できるわけではありません。

例えば、個別事情を考慮した判断やイレギュラーな対応、複数の要素が絡む相談では、AIだけでは適切な回答が難しいため、人のサポートが必要です。

また、顧客が求めていることを正確に理解できず、期待した回答を提示できない場合もあります。
そのため、AIだけに任せるのではなく、必要に応じてオペレーターへスムーズに引き継ぐ体制を整えることが重要です。

・AIは誤回答のリスクがある

AIは大量のデータをもとに回答を生成しますが、必ずしも正しい情報を返すとは限りません。

誤った回答をあたかも正しい内容であるかのように提示してしまうこともあり、顧客との信頼関係を損なう原因になる可能性があります。

特に料金や契約内容、法令に関わる問い合わせでは、誤回答が大きなトラブルにつながることも考えられます。

そのため、AIの回答内容を定期的に確認し、必要に応じて人が監修・修正できる運用体制を整えることが大切です。

・定期的なチューニングが必要

AIは導入しただけでは高い効果を維持できません。定期的なアップデートが必要です。

例えば、新商品の発売やサービス内容の変更に合わせて、FAQや学習データを更新しなければ回答精度は徐々に低下してしまいます。

また、実際の問い合わせ内容を分析し、「回答できなかった質問」や「誤回答が発生した質問」を改善することも重要です。

継続的にチューニングを行うことで、AIの回答精度が向上し、より実用的なカスタマーサポートを実現できます。

AIを導入したがメンテナンスが難しいといった場合は、外部の業者に依頼して定期的なメンテナンスを行うことが必要です。

▼ カスタマーサポートはAIと有人対応を組み合わせることが重要

カスタマーサポートの作業の一部は、AIに置き換えられますが、その一方で、まだ有人対応が必要な業務もあります。

つまり、AIを導入すればカスタマーサポートの業務をすべて自動化できるとは限りません。
そのため、AIの得意分野、不得意分野はもちろんのこと、有人対応のメリット、デメリットを把握しておくことが大切です。
ここでは、AIと有人対応のそれぞれのメリットや特徴をご紹介します。

・AIは定型業務が得意

AIはFAQへの回答や注文状況の確認、営業時間の案内など、ルール化された業務を得意としています。

こうした問い合わせは件数が多いため、AIが対応することでオペレーターの負担を大幅に軽減できます。

また、夜間や休日でも迅速に回答できるため、顧客を待たせる時間を短縮し、サービス品質の向上にもつながります。

ただ、定型対応も定期的なアップデートも必要です。
一度導入すれば、終わりというわけではありません 。その点は理解しておきましょう。

・AIの不得意分野を人がカバーする

一方で、クレーム対応や契約内容の個別相談、顧客の感情に寄り添う対応は、人だからこそできる業務です。

顧客が不満や不安を抱えている場合は、単に正しい回答を伝えるだけでは十分ではありません。状況を理解し、相手の気持ちに配慮したコミュニケーションが求められます。

AIでは対応が難しい案件をオペレーターが担当することで、顧客との信頼関係を築きやすくなります。

そのため、AIで解決しなかった場合は、有人に即切り替えられるシステムを構築すれば、両方のメリットをうまく生かせるでしょう。

・AIと人を組み合わせることで顧客満足度が向上する

AIと人は競合する存在ではなく、それぞれ異なる強みを持っています。

例えば、夜間や休日はAIが一次対応を行い、判断が必要な案件や複雑な相談はオペレーターへ引き継ぐ運用が理想的です。

このように役割を分担することで、業務効率を高めながら、顧客一人ひとりに適切なサポートを提供できます。

AIを効果的に活用するためには、「AIに任せる業務」と「人が対応する業務」を明確に切り分けることが重要です。両者の強みを生かした運用を実現できれば、企業の生産性向上だけでなく、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

▼ まとめ

AIをカスタマーサポートに導入すれば、業務の効率化や対応品質の均一化、24時間対応の実現など、多くのメリットをもたらします。

問い合わせ対応の負担を軽減できるだけでなく、顧客データを蓄積・分析することで、サービス改善や新たな価値創出にも役立ちます。

しかし、AIは万能ではありません。複雑な問い合わせへの対応や誤回答のリスク、継続的なチューニングの必要性など、導入前に理解しておくべき注意点もあります。

AIの効果を最大限に発揮するためには、AIだけに任せるのではなく、人によるサポートと組み合わせた運用が欠かせません。それぞれの得意分野を生かした体制を構築することで、業務効率と顧客満足度の両立を目指せるでしょう。

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