入社時研修でつまずく新人スタッフが多い場合は、カリキュラムを早急に見直した方が良いかもしれません。
どのような原因が考えられどのような対策があるのか見てきましょう。
新人スタッフはどう感じているか?
入社時研修の受講後(または受講中)に研修内容に不満がないか新人スタッフに確認してみると、次のような声がよく訊かれます。
- 前回の研修の内容がまだ理解できていないのに、次の内容を教えられても理解できない
- 知らない言葉やまだ教わっていない内容が研修で出てくるので、そもそも分からない
- 言葉で教えられるだけでは、具体的なイメージが湧かない
- 個々の内容はある程度理解できても、それぞれのつながりや関係性、または全体像が分からりづらい
- 講師がひたすら喋っているだけなので飽きる、つまらない
なぜ新人スタッフは入社時研修でつまずくのか?
このような不満がどのような原因で発生しているのか、主なものを挙げると次のようなものがあります。
- カリキュラム全体が「必要十分」な量ではない
- 標準的なスタッフ(受講者)が理解できる程度の説明方法や研修ペースになっていない
- 一方的に話す座学が多く、受講者の集中力が維持できない
- 専門用語や抽象的な表現が使われているために、受講者が理解が進みにくい
- 個々の研修の流れは問題なくても、カリキュラム全体が理解しやすい流れになっていない
教える側の論理で考えてしまって、受講者の立場や観点で研修カリキュラムを組んでいないことがその原因だと言えるかもしれません。
受講者に媚びる必要はありませんが、研修の目的が「受講者に必要な知識やスキルを身に付けてもらう」ことだとすれば、研修の主役はあくまで受講者であって、教える側ではないことは認識しておくべきです。
新人スタッフをつまずかせない入社時研修づくり
このような課題を認識した上で、新人スタッフをつまずかせない入社時研修づくりのための対策は以下になります。
まず、カリキュラム全体の論理的整合性を整えるとともに、抜けや漏れ、重複などが無いように構成する。
カリキュラムの全体像をMECE的視点で構成し、それをどういう順で実施すれば最も理解しやすいのかを、受講者視点で判断して組み立てる。(必要なら受講者アンケートなどのリサーチを行う)
研修の前後関係を確認し、前提知識などの面で適正な順序になっているか検証する。
場合により研修順を変更したり、前段の研修で後段の研修の前提知識となるような内容を付け加える。
さまざまな説明の際の表現や説明方法が適正かチェックする。
専門用語などは極力使用しないのは当然だが、その他にも表現などにわかりにくい部分がないかなどのチェックをする。
また抽象的な説明ではイメージがつかみにくい箇所などは、例示などを用いてイメージを持ちやすくする。
実際に使う業務システムや店頭で使うツール、または本物の商品やサンプルなどを用意して、できるだけ実際に見て触れる環境を用意する。
リアリティが増すことで記憶に残りやすく、受講者の集中力も増す。
研修時間には制約があるので、カリキュラムに強弱を付けて、重要な箇所はじっくりと時間をかけて、そうでない箇所(例えば後で資料を見れば分かるような内容)には余分な時間をかけないような工夫をする。
また、研修の進め方を工夫することで受講者の集中力を高めることができます。
例えば、研修毎に理解度テストを行うことで、受講者は内容の復習や理解度を確認することができ、講師側はどこが理解しづらかったかなどのカリキュラムの分析/評価ができます。
また、スタッフ別の理解度も把握できるので、必要なら補講の実施、さらには今後継続するかどうかの適性評価などにも役立ちます。
さらに、研修中は一方的に話すだけではなく、できるだけ受講者とのコミュニケーションと取ることも重要です。
簡単なことで良いので、受講者問いかけることです。
「○○さん、どう思いますか?」「○○さん、こんな経験ないですか?」などあまり難しいことを問うと緊張してしまいますので、なるだけ答えられることを聞くのが良いでしょう。
講師が受講者の方を向いて研修していることを示すことになり、さらに受講者は一定の緊張を保つことができます。
研修カリキュラムは一度作成すればそれで終わり、ということはありません。
スタッフの育成状況の確認やヒアリングなどを行った上で、より合理的で効果的なカリキュラムにブラッシュアップしてくようなPDCAサイクルを作っておきましょう。