IT・WEBサービスサポート業務では、他の業務に比べて業務処理のスピード、正確性が強く求められます。
また、必要な技術の範囲は広く、かつ進歩や変化が速く常に知識の習得を心がける必要があります。
そして、単に技術的な回答を行えば十分ではなく、顧客の感情を読み取り、共感を得られる高いコミュニケーション能力が必要です。

そのため、幅広い知識や人間力を磨くためにIT・WEBサービスサポートのマネージャーは、サポートメンバーの人材育成に注力し、レベルを上げることに注力しなければなりません。
そこで、マネージャーが人材育成において意識すべき「理念の共有と浸透」「連帯感・一体感の醸成」「メンタリングによる個別指導・支援」の3つについて解説します。


理念の共有と浸透

組織として大きなパワーを発揮させるには会社の理念を、部門としていかに実現していくべきかに落とし込んだ部門の理念を考え、それを共有できるように浸透させていくことを意識して人材を育成する必要があります。

理念の共有が成功している例として、東京近郊にある有名なレジャー施設があります。
その施設ではマニュアルに書ききれていないことを現場の社員だけでなくアルバイトまでが、判断が難しいケースでも上司に細かい指示を仰がずに理念に基づいて自分で判断し、顧客対応しています。
そして、その臨機応変な対応が来場者の感動を呼び、高い評価につながっています。

IT・WEBサービスサポートでは、さまざまな感情を持った顧客に対して何よりもスピードと正確な対応が求められます。
指示待ちや判断を仰がないと業務が進められないようでは顧客から支持される組織になれません。


連帯感・一体感の醸成

組織に属するメンバーの仕事に取り組む価値観はそれぞれで異なります。
いろいろな価値観の分け方がありますが、その1つにマサチューセッツ工科大学のエドガー・H・シャイン博士が提唱した8つの価値観があります。
多様な価値観の例として簡単に紹介します。

1.8つの価値観とは

1-1.管理能力

この能力を求めるタイプの人は、出世思考が強く、難しい問題を解決することや人の世話をすることにやりがいを感じ、責任を負うことを求めて、管理職や経営側に立つことに高い価値観を感じます。

1-2.専門能力

この能力を求めるタイプの人は、特定の分野で専門家になることに価値観を持ち、技術や知識について誰にも負けたくないと感じています。
結果としての昇進よりも好きなことを一生懸命に行い、周囲から頼られることに喜びを感じます。

1-3.安定性・安全性

安定性・安全性を求めるタイプの人は安定して仕事が長く続けられることを好むタイプです。
変化の少ない仕事をあくせくせずにゆったりとして働きたいと思っています。

1-4.創造性

創造性を求めるタイプの人は、クリエイティブな仕事や新しい仕事を好みます。

1-5.自律・独立性

自律・独立性を求めるタイプの人は、規則や他人に指示されて仕事をすることを嫌い、自分のペースですることを好みます。
そのため、協調性に欠け、集団で行う業務を嫌います。

1-6.社会貢献性

社会貢献性を求めるタイプの人は、自分のことよりも社会のため、人のためになることにより強い価値観を持ちます。

1-7.チャレンジ欲求性

チャレンジ欲求性を求める人は、誰もが無理だと諦めるような難しい仕事を解決することを好みます。
変化や刺激がなく難しくない単調な定型業務を嫌います。

1-8.プライベートと仕事の両立性

プライベートと仕事の両立性を求めるタイプの人は、家庭や自分自身のプライベートな生活と仕事を強く両立させたいと考えます。
仕事が嫌いなわけではなく、仕事とプライベートのバランスが崩れるような働き方を嫌います。

2.異なる価値観を持つ集団を強くするには連帯感・一体感の醸成が必要

例として8つの価値観を上げましたが、通常、人は価値観が1つだけということはなく、2個以上を持っており、その価値観の強弱の大小までも考慮すると人の価値観は無限大で、一人ひとりで異なります。
マネージャーは自分自身の価値観で部下の仕事内容や取り組みを評価し、指導や注意をしがちですが、価値観の違いからくる注意や指導は、受け入れられる可能性はあまり高くありません。

しかし、一方で多様な価値観のままでは組織全体としての強みを発揮させられません。
それは、サッカーやバレーボール、あるいはラグビーなどチームプレーが求められるスポーツを見ると分かります。
能力のある選手がそろっていても、連帯感・一体感のある攻撃や守備ができなければ、勝つことは困難です。

部下であるメンバーの多様な価値観を認め、その価値観を生かせる業務配分を行い、さらに理念に基づくメンバーの連帯感を醸成することが強い組織にするには必要です。
多様な価値観のメンバーが集まる組織に一体感をもたせなければなりません。

3.連帯感・一体感をもたせて組織力を高めるために必要な2つのこと

3-1.明確な目標を組織で共有する

価値観が異なっても目標を定めて強く共有することで、その目標に向かって全員が進めます。

3-2.明確な目標に対して各メンバーがなすべきことをしっかりと認識する

メンバーの価値観を理解し、それぞれの価値観や得意な分野で業務における役割を配分し、その役割分担をしっかりとメンバーに意識させることで、メンバーが業務に積極的に取り組めることから組織力を高められます。


メンタリングによる個別指導・支援

「理念の共有と浸透」「連帯感・一体感の醸成」だけでは、組織を強くするには不十分です。
サッカーなどのチームプレーが重要なスポーツでは、監督・指導者が変わることでチーム力は、選手が入れ替わらなくても大きく上昇することがあります。
それは、選手との信頼感を築き、選手のやる気を引き出すからです。

メンタリングとは、人材を育成する手法の1つで、指導者と受け手のメンバーが1対1の強い信頼関係を構築して、仕事に向き合いながらメンバーの主体性を引き出す手法のことです。
マネージャーは、管理者としてだけではなく有能なメンター(メンタリングをする人)でなければなりません。

メンタリングは、人材開発・育成でテクニカルな技術・知識だけを一方的に支援・指導するコーチングよりも、幅広くメンタル面や思考方法についても支援・指導を行う手法です。
できるようになるためには、こうすれば良いとただ指導するのではなく、「どうしたらできるようになるのか」をともに考えて1対1で指導します。
組織のメンバーが多いと大変ですが、ここまでやりきることで組織力を大きく伸ばせます。


まとめ

IT・WEBサービスサポート業務は、幅広い知識が求められ、それらの知識は日々更新され、変化していきます。
また、業務対応にはスピードと正確性が求められます。これらに対応していくにはサポートメンバーが受け身ではなく能動的に業務に取り組む姿勢が必要です。
そこで、サポートメンバーを育成し、サポートレベルを上げるためにマネージャーに必要な人材育成において意識すべき考え方について紹介しました。

人材育成は対象に合わせた柔軟な育成方法が求められ、こうすれば育成できるという具体的な方法論はありません。
人材育成の基本を押さえて個々の組織に合わせて考えながら、よりよい指導法を模索していくことが必要です。