マニュアルは仕事を属人化させず、誰でも同じ品質の仕事ができるようにするために、重要なアイテムです。
しかし、マニュアルを作成したにもかかわらず、「同じような問い合わせが繰り返される」「担当者の対応業務が減らない」と悩んでいる担当者も決して珍しくありません。
問い合わせを減らすためには、単に情報をまとめたマニュアルを用意するだけでは不十分です。
また、実際の問い合わせ内容を分析しながら、継続的にマニュアルを改善する必要もあります。
本記事では、マニュアルを作っても問い合わせが減らない原因や、実際に使われるマニュアルの作り方、問い合わせ内容をマニュアル改善に活かす方法について解説します。
▼ マニュアルを作っても問い合わせが減らない5つの原因
マニュアルを用意しただけで、問い合わせが自動的に減るわけではありません。
ここでは、マニュアルを作成しても問い合わせが減らない代表的な5つの原因を解説します。
・必要な情報を見つけにくい
マニュアルに必要な情報が掲載されていても、必要な情報が短時間で見つからなければ、意味がありません。
利用者は、必ずしもマニュアルを最初から最後まで読むとは限りません。
短時間で目的の情報を見つけられなければ、「探すより担当者に聞いたほうが早い」と判断されてしまいます。
そのため「ログインできない」「申請方法を知りたい」など、問題を解決するために必要な情報がすぐに見つけられることが大切です。
・内容がわかりにくい
マニュアルの該当箇所を見つけても、内容が分かりにくければ解決できません。
専門用語や社内用語が多い、説明が長すぎる、操作手順が文章だけで書かれているなど、問題がないか確認が必要です。
特に注意したいのが、作成者と利用者の知識量の違いです。業務に詳しい担当者にとって当たり前の内容でも、初めて商品やシステムを利用する人にはわからないことがあります。
・利用者が知りたい情報が不足している
マニュアルに多くの情報を掲載していても、実際に利用者が知りたい内容が不足していると、問い合わせは減りません。
また、担当者が「必要だろう」と考えて作成した内容と、利用者が実際に必要としている情報が一致していないケースもあります。
マニュアルを作成・改善する際は、実際の問い合わせ履歴などを確認することが重要です。
・情報が更新されていない
商品やサービス、システム、社内ルールなどが変更されたにもかかわらず、マニュアルに古い情報が掲載されたままになっていることも、問い合わせが減らない原因です。
さらに、一度でも「マニュアルを見ても正しい情報がわからない」と認識されると、利用者がマニュアルそのものを信用しなくなる恐れもあるでしょう。
・マニュアルの存在や使い方が浸透していない
使いやすいマニュアルを作成しても、利用されなければ意味がありません。
また、「マニュアルがあることは知っているが、どこから必要な情報を探せばよいかわからない」というケースもあります。
マニュアルの保存場所やアクセス方法をわかりやすくし、必要な場面ですぐに利用できる環境を整えましょう。社内ポータルや業務システムなど、利用者が普段使用する場所からアクセスできるようにすることも方法のひとつです。
▼ 問い合わせ削減につながる「使われるマニュアル」の作り方
問い合わせ削減につなげるためには、作成者が伝えたい情報を掲載するだけではなく、利用者が自分で疑問を解決できるマニュアルを作る必要があります。
ここでは、実際に使われるマニュアルを作成するためのポイントを紹介します。
・実際の問い合わせ内容を分析する
これまでに寄せられた問い合わせの内容を確認し、それを基にマニュアルを作る必要があります。
電話やメール、チャットなどの問い合わせ履歴から、質問の種類や件数、問い合わせが発生する場面などを分類すれば、「同じ操作について何度も質問されている」「特定の商品に関する問い合わせが多い」などの傾向が見えてくることもあるでしょう。
頻繁に寄せられる質問は、多くの利用者が同じ部分でつまずいている可能性があります。
問い合わせ件数の多い内容から優先的にマニュアルへ反映することで、より効率的な改善につなげられます。
・利用者の行動に沿って情報を整理する
利用者がどのような状況で情報を必要とするのかを考えてマニュアルを構成することも大切です。
「ログインできない」「パスワードを変更したい」「申請方法がわからない」など、利用者が実際に抱える疑問や目的から必要な情報へたどり着けるようにすると、自己解決しやすくなります。
実際に利用者が行う作業の順番に沿って説明することも有効です。
どのような場面でマニュアルを見るのかを想定しながら、情報の分類や掲載順を検討しましょう。
・誰でも理解できる表現にする
マニュアルは、利用者の知識量にかかわらず理解しやすい表現を意識することが大切です。
専門用語や社内用語はできるだけ避け、使用する必要がある場合は意味を補足します。
一文を短くする、ひとつの文章に複数の操作を詰め込まないといった工夫も読みやすさにつながります。
文章だけでは説明しにくい操作は、スクリーンショットや図を使って示すなど、工夫も凝らしましょう。
利用者が迷いやすい箇所を視覚的にわかりやすくすることがポイントです。
・必要な情報を検索しやすくする
マニュアルは、目次やカテゴリ、索引などを整理し、利用者が短時間で目的の情報を見つけられるようにしましょう。
Web上のマニュアルであれば、検索機能を設けることも有効です。
内容が充実していても、必要な情報へすぐにたどり着けなければマニュアルは使われにくくなります。
また、カテゴリ名や見出しには、利用者が実際に使う言葉を取り入れることもポイントです。
社内で使用している正式名称だけでなく、利用者が検索しそうな言葉からも情報を見つけられるようにすると利便性が高まります。
問い合わせの際に利用者がどのような言葉で質問しているのかを確認すると、検索しやすい見出しやキーワードを考える際の参考になります。
・定期的に内容を更新する
マニュアルは一度作成して完成ではありません。商品やサービス、システム、業務内容などの変更に合わせて情報を更新する必要があります。
変更が発生するたびに更新することはもちろん、定期的に内容を確認する機会を設けることも大切です。
そのためには、「誰が更新するのか」「どのタイミングで確認するのか」をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
更新日や更新履歴を記録しておけば、情報がいつ確認されたものなのかも把握しやすくなります。
古い情報を放置せず、利用者が安心して参照できる状態を維持することが、継続的なマニュアル利用につながります。
▼ 問い合わせ内容をマニュアルに取り入れる方法
実際に寄せられた問い合わせには、利用者がマニュアルだけでは自己解決できなかった問題が集まっています。
問い合わせ内容を蓄積・分析し、マニュアルへ反映する仕組みを作ることで、利用者がつまずきやすい部分を継続的に改善できます。
ここでは、問い合わせ内容をマニュアルに取り入れる方法を解説します。
・問い合わせ履歴を蓄積・分類する
電話やメール、チャットなどで寄せられた問い合わせは、できるだけ記録して蓄積しましょう。
問い合わせ内容だけでなく、原因や対応方法なども記録しておくと、後から分析しやすくなります。「操作方法」「契約内容」「料金」「トラブル」など、一定のルールで分類することも有効です。
問い合わせ履歴を蓄積すると、どのような疑問やトラブルが多く発生しているのかを可視化できます。担当者個人の経験や記憶に頼らず、データをもとにマニュアルの改善箇所を判断できるようになります。
・問い合わせの多い項目から優先して改善する
マニュアル全体を一度に見直そうとすると、担当者の負担が大きくなります。まずは問い合わせ件数の多い項目から優先して改善しましょう。
同じ質問が繰り返されている場合、単純に情報が掲載されていないとは限りません。
すでに説明があるにもかかわらず問い合わせが多いのであれば、説明がわかりにくい、必要なページを見つけにくいなどの問題が考えられます。
「情報を追加すれば解決する」と決めつけず、利用者がなぜ自己解決できなかったのかを確認することが重要です。
問い合わせ件数や対応にかかる時間などをもとに優先順位を決めれば、限られたリソースでも効果の大きい箇所から改善できます。
・改善後の問い合わせ件数を確認する
マニュアルを修正した後は、対象となる問い合わせが実際に減ったかを確認しましょう。
例えば、毎月20件寄せられていた質問に対して説明ページを改善したのであれば、翌月以降の問い合わせ件数を確認します。
件数が減っていれば、改善によって利用者が自己解決できるようになった可能性があります。
反対に問い合わせ件数が変わらない場合は、説明内容だけでなく、検索性やマニュアルへの導線など、別の原因を改めて探る必要があります。
問い合わせ内容を分析し、改善して、その効果を確認する流れを繰り返すことで、利用者が自己解決できる範囲を少しずつ広げましょう。
▼ マニュアルを改善しても問い合わせが減らない場合は対応体制も見直そう
使いやすいマニュアルを整備しても、すべての問い合わせをなくせるとは限りません。
個別の状況に応じた判断が必要な相談や、複雑なトラブルなど、マニュアルだけでは解決できない問い合わせもあります。
そのため、マニュアルの改善とあわせて、問い合わせ対応の体制そのものを見直すことも大切です。
・問い合わせ窓口を集約する
問い合わせ窓口を集約すれば、問い合わせ内容や対応状況を一元管理しやすくなります。
問い合わせ先が部署や担当者ごとに分散していると、対応状況を把握しにくくなります。
また、同じような問い合わせが複数の部署へ届いていても、企業全体ではその事実を把握できていないケースもあるでしょう。
また、どのような質問が多いのか、利用者がどこでつまずいているのかといった情報も集まりやすくなります。
蓄積したデータをマニュアルやFAQの改善に活用することで、自己解決できる環境の整備にもつなげられます。
・FAQやチャットボットなど複数の自己解決手段を用意する
利用者が必要とする情報の量や内容によっては、マニュアル以外の方法が適している場合もあります。
例えば、「営業時間を知りたい」「パスワードの変更方法を知りたい」といった簡単な質問であれば、FAQからすぐに回答を確認できるほうが便利です。
よくある質問には、チャットボットを活用して自動回答する方法もあります。
マニュアル、FAQ、チャットボットなど複数の自己解決手段を用意することで、利用者が疑問の内容や状況に応じて情報を探せるようになります。
簡単な問い合わせは利用者自身で解決できる環境を整え、担当者は個別対応が必要な問い合わせへリソースを集中できる体制を目指しましょう。
・問い合わせ対応を外部に委託する
問い合わせ件数が多く、社内だけで対応することが難しい場合は、問い合わせ対応を外部へ委託する方法も有効です。
BPOサービスを活用すれば、電話やメール、チャットなどの問い合わせ窓口の運営を外部へ任せることが可能です。社内担当者の問い合わせ対応にかかる負担を軽減し、本来の業務に集中しやすい環境を整えられます。
また、問い合わせ対応を行うだけでなく、問い合わせ履歴を蓄積・分類し、頻出する質問や利用者がつまずきやすいポイントを分析できる体制を整えることも重要です。
蓄積された問い合わせデータをマニュアルやFAQへ反映すれば、自己解決できる利用者を増やし、問い合わせ対応業務そのものの効率化にもつなげられます。
▼ まとめ
マニュアルを作成しても問い合わせが減らない場合は、必要な情報を見つけにくい、内容がわかりにくい、利用者が求める情報が不足しているなど、さまざまな原因が考えられます。
問い合わせを削減するためには、実際の問い合わせ内容を分析し、利用者が必要な情報へたどり着きやすく、誰でも理解しやすいマニュアルを作ることが重要です。
また、作成後も問い合わせ履歴を確認しながら、内容を継続的に改善していく必要があります。
一方で、マニュアルだけですべての問い合わせをなくすことは困難です。
FAQやチャットボットなどの自己解決手段も活用しながら、有人対応が必要な問い合わせへ適切に対応できる体制を構築しましょう。

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