各社の製品やサービスに機能や性能の大きな差がなくなるコモディティ化がますます進展した現在では、製品やサービスで差別化を図ることの困難さが増しています。
また、インターネットやデジタル化の進展で製品やサービスに占めるソフトウェアのウェイトは上がり、それに伴いパソコンの操作やソフトウェアを使いこなせない人が増加、IT・WEBサービスに対するサポート業務の重要性が増しています。
この結果、どの製品やサービスも顧客から見るとほぼ差がないように見えることから企業は差別化が困難で価格競争を強いられ、高い収益を上げることが難しい状況です。
さらに、苦労して販売しても丁寧で迅速なサポートを提供できなければ、顧客は使い方が分からず製品やサービスに不満を持ち、継続購入・利用に至らないばかりか、企業自体への信頼を失い他の製品やサービスへの販売にまで悪影響を与えます。
このような状況下で自社のIT・WEBサービスを差別化し、顧客に愛され、使い続けられていくようにするためにはサポート業務が極めて重要なことについて解説します。
IT・WEBサポート業務のビジネスプロセス上の位置付け
IT・WEBサポート業務は、以下のビジネスプロセスの「アフターサービス・サポート」に位置付けられます。
ビジネスプロセスとは、簡単に言うと「企業目的(ビジネス)を達成するために行う一連の活動の過程(プロセス)」のことです。
製品やサービスを開発・販売する企業は、一般的には下記のようなプロセスを通じて活動を行い、企業目的を達成します。
IT・WEBサービスではサポート業務が重要な理由
企業は、経営資源をどのプロセスに重きを置いて重点的に投資しているかによって2つに大きく分かれます。
1つは、経営資源を「研究・開発・生産」に注力する「開発型企業」。
もう1つは「広告・販促・販路開拓・販売」に注力する「販売型企業」です。
開発型企業は、今まではシーズ中心の開発を行ってきていましたが、経営環境の変化で顧客ニーズにあった製品やサービスを提供していかないと売上を伸ばせない課題を抱えています。
販売型企業は、差別化・競争力のない製品・サービスが多くなった結果、価格競争に巻き込まれて十分な利益が得られない課題に直面しています。
このような課題のある状況を打破するには、以下に紹介するサポート業務の3つの重要性を認識し、サポート業務を見直すことで上記の課題を解決できます。
特に、ソフトウェアのウェイトが高い製品・サービスを販売する企業はサポート業務の重要性が高くなります。
1.顧客満足度の向上に必要不可欠な業務
顧客が製品やサービスに対して感じる価値観は、所有することの価値から使用する価値へ変化し、使用価値を顧客に訴求できないと顧客満足度を高められません。
また、特にソフトウェアの比率が高いIT・WEBサービスのサポートでは、マニュアルやWEBサイトでのテキストや画像による情報では丁寧な説明が困難なため、顧客の疑問点・質問に沿った丁寧な対応ができるサポート業務は顧客満足度を向上できます。
2.競争優位を維持するための貴重な情報源
サポート業務を行う部門には、顧客の製品やサービスに対する本音の不満、要望などが最も集まり、ビジネスプロセスの各プロセスへ顧客の意見を反映でき、差別化・競争力のある製品やサービスの開発に寄与できます。
3.サポート業務はコストセンターではなくプロフィットセンター
従来、サポート業務は販売のためのコストセンターと捉えられていました。
しかし、サポート業務は、その企業しかできない独占マーケットを生み出せる可能性があります。
例えば、顧客満足度を高めることで優良顧客として囲い込みができ、継続購入による売上増が期待できます。
また、数値化は困難ですが、顧客満足度を向上させられると、SNSなどによる製品やサービスの良い口コミの拡散は、企業の宣伝・広告よりもはるかに信頼度の高い販促効果が期待できます。
特にIT・WEBサービスは、SNSなどとの相性が良いので一層高い効果を得られます。
まとめ
IT・WEBサービスのサポート業務におけるサポート業務の3つの重要性について紹介しました。
サポート業務の重要性を理解し、サポート業務を見直し・改善することで企業の売上・収益アップに貢献できます。
この機会に見直すことをおすすめします。