生成AIやチャットボットなどの普及により、コールセンターでもAIを活用する企業が増えています。
問い合わせへの自動回答や通話内容の要約など、これまでオペレーターが行っていた業務の
一方、顧客の状況に応じた判断やクレーム対応など、人による対応が求められる業務もあり、すべてをAIに置き換えられるわけではありません。
これからのコールセンターでは、AIと人それぞれの得意分野を生かしながら、必要に応じてBPOを活用することが重要です。
本記事では、AI時代におけるコールセンターBPOの役割や、AIに代替できる業務・できない業務、AIと人を組み合わせるメリットについて解説します。
▼ AI時代のコールセンターBPOとは?
コールセンターBPOとは、電話やメール、チャットなどによる顧客対応業務を外部の専門会社へ委託するサービスの総称です。
近年はAI技術の発達により、オペレーターがすべての問い合わせに対応するのではなく、一部の業務をAIで自動化する方法も広がっています。
AIとオペレーターを適切に組み合わせることで、限られた人員でも効率的にコールセンターを運営しやすくなります。
ここではコールセンターBPOの仕組みとAIの普及が与える影響について解説します。
・コールセンターBPOの基本的な仕組み
コールセンターBPO(Business Process Outsourcing)とは、企業の業務プロセスの一部を外部の専門会社へ継続的に委託するサービスの総称です。
コールセンターBPOでは、電話対応をはじめ、メールやチャット対応、注文受付、データ入力など、顧客対応に関連する幅広い業務を委託できます。
自社ですべての運営体制を整える必要がないため、人手不足の解消や業務負担の軽減を目的として活用されています。
コールセンターBPOの仕組みや依頼できる業務については、以下の記事でも詳しく解説しています。
https://ma-inc.jp/supportzine/all/column0110
・AIの普及でコールセンターBPOはどう変わる?
AIの普及によって、コールセンターBPOでも自動化できる業務が増加しています。
例えば、チャットボットやボイスボットを利用すれば、よくある質問への回答や予約受付などをAIに任せることが可能です。
また、音声認識や生成AIを活用し、通話内容の文字起こしや要約、回答案の作成などを行うこともできます。
ただし、すべての問い合わせをAIだけで解決できるとは限りません。
AIによる一次対応とオペレーターによる対応を組み合わせ、それぞれに適した業務を担当する運用が重要です。
▼ コールセンターで活用されている主なAI技術
コールセンターでは、顧客からの問い合わせに直接対応するAIだけでなく、オペレーターの業務を支援するAIも活用されています。
ここでは、コールセンターで活用されている代表的なAI技術を紹介します。
・チャットボット・ボイスボット
チャットボットは、Webサイトなどで顧客から入力された質問に対して、自動で回答する仕組みです。
簡単な問い合わせをAIに任せることで、オペレーターが対応する電話の件数を減らせる点がメリットです。
営業時間やサービスの利用方法など、よくある問い合わせへの対応に活用できます。
一方、ボイスボットは電話による問い合わせに音声で自動対応する仕組みです。
音声認識や音声合成などの技術を利用し、予約受付や注文受付、問い合わせ内容の聞き取りなどを自動化が可能です。
・音声認識・生成AI
音声認識は、顧客とオペレーターの会話をテキストに変換する技術です。
通話内容を自動で文字にできれば、オペレーターが会話を聞きながら細かく記録する手間を省けます。
さらに、生成AIを組み合わせることで、会話の要点をまとめたり、問い合わせ内容に応じた回答案を作成したりすることも可能です。
現在は音声認識、自動要約、回答生成などを組み合わせてオペレーターを支援するサービスも登場しています。
AIは顧客対応を自動化するだけでなく、オペレーターが効率よく業務を進めるための支援にも活用できます。
▼ コールセンターでAIに代替できる主な業務
AIは、一定のルールや登録された情報に基づいて処理できる定型業務を得意としています。
対応件数が多く、回答や手順が決まっている業務からAIへ移行することで、オペレーターの負担を軽減できます。
ここでは、AIによる自動化や効率化を進めやすい代表的な業務を紹介します。
・回答が決まっている質問の返答
営業時間や手続き方法、サービスの利用方法など、回答内容がある程度決まっている問い合わせはAIで対応しやすい業務です。
チャットボットやボイスボットにFAQなどの情報を設定することで、顧客からの質問に自動で回答できます。
AIによって顧客自身で問題を解決できれば、問い合わせ件数の削減にもつながります。
・問い合わせ内容の分類・振り分け
AIを利用して問い合わせ内容を分析し、適切な窓口へ振り分けることも可能です。
コールセンターでは、商品に関する質問や契約内容の変更、トラブルの相談など、さまざまな問い合わせが寄せられます。
AIで問い合わせの目的を確認し、適切な部署やオペレーターへつなげる仕組みを整えれば、転送や確認作業を減らせるでしょう。
顧客を長時間待たせるリスクを抑えられる点もメリットです。
・通話内容の文字起こしや要約
通話内容の文字起こしや要約も、AIを活用しやすい業務です。
コールセンターでは、電話対応が終了したあとに、問い合わせ内容や対応結果をシステムへ入力する現場もあるでしょう。
1件あたりの作業時間が短くても、対応件数が多ければオペレーターにとって大きな負担になります。
音声認識によって通話をテキスト化し、生成AIで内容を要約すれば、記録作成にかかる時間を短縮できます。
・簡単な受付・手続き
予約受付や資料請求など、決められた項目を確認しながら進められる手続きもAIを活用しやすい分野です。
例えば、予約受付であれば、希望日時や氏名、連絡先など必要な情報を順番に確認できます。
実際にボイスボットは、予約や資料請求などの定型的な受付業務にも利用されています。
人による判断を必要としない手続きをAIへ任せることで、オペレーターは複雑な問い合わせへ集中できます。
問い合わせが集中する時間帯の負担を軽減する方法としても活用できるでしょう。
▼ コールセンターでAIに代替できる主な業務
AIの性能が向上しても、コールセンターのすべての業務を完全に代替できるわけではありません。
ここでは、人による対応が重要となる代表的な業務を紹介します。
・顧客への細やかな対応が必要な案件
顧客が疑問や不安を問い合わせたい場合は、状況に合わせた細やかなコミュニケーションが求められます。
特に不安の解消は、同じ内容の問い合わせでも顧客によって不満の程度や求めている対応が異なります。
相手の話を聞きながら適切なタイミングで謝罪し、必要に応じて説明方法を変えるなどの対応が必要です。
顧客の反応を確認しながら会話を進めることは、信頼関係を維持するうえでも重要です。
AIで一次受付を行う場合でも、複雑な対応が必要になった段階でオペレーターへ引き継げる仕組みを整えましょう。
・ 複雑な判断が必要な問い合わせ
複数の商品や契約条件が関係する相談なども、AIによる完全な代替が難しい業務です。
例えば、過去に契約内容を変更している顧客から新たな相談があった場合、現在の契約だけを確認しても適切な回答ができない可能性があります。
マニュアルだけでは対応方法を決められない問い合わせは、知識や経験を持つオペレーターへ引き継ぐことが重要です。
・顧客に合わせた提案や交渉
顧客に合わせて商品やサービスを提案する業務にも、人による対応が適しています。
顧客が言葉にした要望だけではなく、会話の中から潜在的なニーズを把握し、適切な選択肢を提示する必要があるためです。
顧客の反応を確認しながら提案内容を変更するなど、柔軟な対応も必要です。
特に、営業や解約防止など、顧客との関係性が結果に影響する業務では、オペレーターのコミュニケーション能力が重要になります。
・緊急性・重大性の高い問い合わせ
事故や重大な障害、サービス停止などに関する問い合わせは、人による確認が必要です。
判断を誤った場合に顧客や企業へ大きな影響を与える可能性があるため、AIだけで対応を完結させるのは適していません。
緊急時のエスカレーションルールも事前に決めておきましょう。
▼ AIと人を組み合わせたコールセンターBPOのメリット
コールセンター業務を効率化する際は、AIか人のどちらか一方を選ぶ必要はありません。
定型業務はAI、判断やコミュニケーションが重要な業務はオペレーターというように役割を分ける方法があります。
AIと人それぞれの得意分野を組み合わせることで、業務効率と応対品質の両立を目指すことができます。
・オペレーターの業務負担を軽減できる
定型的な問い合わせや文字起こし、記録作成などをAIへ任せることで、オペレーターの業務負担を軽減できます。
AIで対応できる問い合わせを自動化すれば、オペレーターが担当する件数を減らすことが可能です。
人はクレームや複雑な相談、顧客への提案など、判断力やコミュニケーション能力が求められる業務へ集中できます。
・問い合わせ対応を効率化できる
AIによる一次対応や問い合わせの振り分けを利用すれば、顧客対応の効率化につながります。
有人対応が必要な場合でも、問い合わせ内容を事前に確認して適切な担当者へ振り分ければ、転送を減らせます。
AIを組み合わせることで、限られた人員でも問い合わせを処理しやすくなります。
・応対品質を安定させやすい
AIは、オペレーターによる応対品質のばらつきを抑えるためにも活用できます。
コールセンターでは、経験豊富なオペレーターと新人で、回答までにかかる時間や説明内容に差が生じる場合があります。
AIがマニュアルやFAQなどをもとに回答候補を提示すれば、新人でも必要な情報を確認しやすくなります。
・24時間対応できる窓口を作りやすい
チャットボットやボイスボットを活用すれば、営業時間外でも一部の問い合わせに対応できます。
有人窓口を24時間運営する場合、夜間や休日にもオペレーターを配置する必要があります。
一方、AIで対応できる質問や手続きを切り分ければ、営業時間外の簡単な問い合わせを自動で受け付けることが可能です。
・問い合わせデータを業務改善に活用できる
AIを利用して問い合わせ内容を分類・分析すれば、コールセンターに蓄積されたデータを業務改善に活用できます。
例えば、同じ質問が何度も寄せられている場合、WebサイトやFAQの説明が分かりにくい可能性があります。
問い合わせが増えている商品やサービスを把握できれば、改善すべきポイントを見つけるきっかけにもなるでしょう。
▼ AI時代のコールセンターBPOを導入する際のポイント
AIを導入すれば、自動的にコールセンター業務が改善するわけではありません。
自社の問い合わせ内容や現在の業務フローを整理し、どの部分にAIを活用するのかを決める必要があります。
ここでは、AIを活用したコールセンターBPOを導入する際のポイントを紹介します。
・ AIに任せる業務と人が対応する業務を分ける
まずは現在の問い合わせ内容を分析し、AIに任せる業務と人が対応する業務を分けましょう。
営業時間の確認など回答が決まっている質問はAI、複雑な相談やクレームはオペレーターというように分類します。
問い合わせ件数が多い業務から自動化を検討する方法もあります。
重要なのは、AIで解決できなかった場合の対応まで決めておくことです。
・ AI導入の目的を明確にする
AIを導入する前に、解決したい課題を明確にすることも大切です。
人手不足を解消したい企業と、顧客の待ち時間を短縮したい企業では、適したAIの活用方法が異なります。
目的を明確にすることで、必要な機能や導入後に確認する効果も判断しやすくなります。
・ AIの回答を確認・改善する体制を整える
AIは導入して終わりではなく、運用開始後も回答内容を確認する必要があります。
生成AIについても、事実と異なる内容を生成する可能性があるため注意が必要です。
定期的に回答内容を確認し、FAQや参照するデータを更新しましょう。
顧客が途中で有人対応へ切り替えたケースなどを分析することも大切です。
また、運用開始後も継続して精度を高める体制を整えることが重要です。
・ セキュリティや個人情報の取り扱いを確認する
コールセンターでは、顧客の氏名や連絡先、購入履歴などの情報を取り扱う場合があります。
そのため、AIツールやBPO会社を選ぶ際は、セキュリティ対策を確認することが重要です。BPO会社に代行を依頼する場合も、情報管理体制や従業員への教育などを確認する必要があります。
▼ AI時代のコールセンター業務はBPOの活用も検討しよう
自社だけで運営体制を構築するのが難しい場合は、コールセンター運営のノウハウを持つBPO会社を活用する方法があります。
コールセンターBPOでは、問い合わせ対応を外部へ任せるだけでなく、電話対応や事務処理など複数の業務をまとめて委託することも可能です。
▼ まとめ
AIの進化によって、よくある問い合わせへの回答、問い合わせ内容の振り分け、通話内容の
チャットボットやボイスボットを活用すれば、定型的な問い合わせを自動化し、オペレーターが対応する件数を減らすことも可能です。
一方、顧客への細やかな対応や複雑な判断、顧客に合わせた提案など、人による柔軟なコミュニケーションが重要な業務を完全にAIへ置き換えることは難しいでしょう。
これからのコールセンターでは、すべてをAIへ代替するのではなく、AIが得意な定型業務と、人が得意な高度な顧客対応を適切に分担することが重要です。
そのうえでBPOを活用すれば、外部の人材や運営ノウハウも取り入れながら、自社の負担を軽減できます。
AIと人それぞれの強みを生かし、効率的で安定したコールセンター運営を目指しましょう。

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