OKR(Objectives and Key Results)は、GoogleやFacebookなどの企業が導入し、成果を上げていることで有名な、目標管理を実現するフレームワークの手法の1つです。

不透明・不確実で変動性・複雑性・曖昧性が増している現代の経営環境では、「組織ごとの目標と主要な成果」を「個人の目標と主要な成果」に関連付けた目標管理を行い、社員の目標達成意欲を高める組織マネジメントができないと持続的な成長が困難な状況になっています。

OKRは組織力を高め、成長スピードを加速させたい企業に最適な目標管理手法です。
OKRの概要、メリット、同じ目標管理手法のKPIやMBOとの違い、成功するための運用のポイントについて紹介します。


OKRとは

OKRとは、日本語で「目標と目標を達成するための重要な成果」を意味する略語です。
OKRは、目標管理手法のフレームワークの1つで、目標(Objectives)を定め、達成のために重要な要素を成果(Key Results)に分解し、進捗状況を追跡・分析して目標を効果的に達成する手法のことです。

企業全体、各組織・チーム、個々の社員といったマネジメント階層ごとのビジョンや戦略・戦術などの目標と、目標を達成するために鍵となる重要な成果を指標に落とし込み、階層ごとに有機的に連携させられることが特徴です。
そのため、次に紹介する6つのメリットが生まれます。


OKRで得られる6つのメリット

OKRを導入すると多くのメリットが生まれますが、主なメリットを以下に6つ紹介します。

1.企業の向かうべき方向が統一されて目標達成に適した行動を社員全員ができる

OKRの導入で企業全体と各組織・チームの目標、および社員間の仕事のつながりが明確になるので、一体感が生まれ、エネルギーにあふれた仕事ができ、目標達成のために高いモチベーションで働けるようになります。
一般的に組織の構成員の人数が増えると、目標に対する意識がバラバラになって効率が低下し、成果をあげにくくなりますが、OKRの導入でそれを防止できます。

2.目標の明確化・高い目標により活力と創造性が生まれる

目標がなかったり、目的が不明確だったりすると、人間はやるべきことが分からず適当に時間をつぶして1日を過ごすことが多くなります。
企業もまったく同じで目標がなかったり、目的が不明確だったりすると、活力が失われ、業績はどんどん低下していきます。

OKRでは、マネジメント階層と個々の社員ごとに定量化された目標が設定されることから目標が明確で達成具合も数値化され、組織・チームと自分の果たす役割が明らかになります。
これにより、組織・チームと個々の社員に活力と創造性が自然に生まれ、目標を達成しやすくなります。

3.企業全体・組織と個々の社員の目標が一致しエンゲージメントが高まる

社員の企業に対する「思い入れ」や「愛着心」を意味するエンゲージメントが低いと、仕事に対するモチベーションも低くなって目標達成に向けて努力する意欲が失われ、成果が上がりません。

OKRを導入すると、企業全体や所属する組織やチームの目標と個々の社員の目標がつながることから、自社に貢献している意識が強くなります。
これにより自社へのエンゲージメントが高まり、業務への取り組みがポジティブになって、成果へとつながっていきます。

エンゲージメントがさらに強くなると、個々の社員と企業が一体となるため、より真剣に自社のことを考えて業務に取り組むようになっていきます。

4.業務の優先順位、進捗状況、責任が明確になる

企業での日々の業務は、向かうべき方向が明確になっていないと、自己都合、あるいは社内のさまざまな利害関係や力関係が働いて、業務の優先順位が不明瞭になって全体の効率が低下してしまいます。

OKRを導入すると、企業の目標や各組織・チーム、個々の社員の目標が明確になるため、業務を遅滞なく進めなければならないというモチベーションが強く働くようになります。
その結果、全社員が自発的、能動的に仕事に取り組み成果が上がりやすくなります。

5.社内コミュニケーションを活性化できる

企業は、個々の社員や組織・チームが与えられた役割を果たすことで業務を推進し、目標を達成します。
そのとき、コミュニケーションが不足していると、社員間や組織・チーム間でスムーズな連携が取れず、業務を効率的に推進できません。
また、コミュニケーション不足は、新しい発想や考え方、ノウハウなどの知識にふれる機会が減少して、個々の社員の能力アップや創造的に思考することが困難になります。

特に、近年は顧客の価値観が多様化していることから、より多くの意見や考えを取り入れ、集約して業務を進めたり、今までにない発想を生み出したりすることが、より重要になってきています。

OKRを導入することで、社員全員に目標が共有されるので、コミュニケーションが生まれやすい環境ができます。

6.変化への対応を柔軟に速くできる

OKRは予算などに決められた目標とは異なり、一般的に3カ月程度の期間ごとに見直されます。
そのため、OKRを導入する企業全体や組織・チーム、および個々の社員で行うべき業務が常に最新の状態にアップデートされ、変化への対応を柔軟に速く行えます。
変化の速い時代にOKRは非常に有効です。


OKRと同じ目標管理の手法KPI、MBOとの違い

目標管理のフレームワークであるOKR、MBO(Management by Objectives)、KPI(Key Performance Indicator)について解説します。
OKRについてはすでに紹介しましたので、MBO、KPIについて簡単に概要を紹介し、その後違いについて解説します。

1.MBOとは

MBOとは、目標による管理を意味する「Management by Objectives」の略語です。
1954年にドラッガーが提唱した組織をマネジメントする概念で、組織と個々の社員の目標を統合・管理し、社員の自主性を重視して業績向上を目指す管理手法です。

ポイントは、上司が一方的に指示して社員に業務を遂行させると、業務遂行への意欲が高まらないことから、個々の社員に自主的に行うべき業務を考えさせることで意欲的に業務に取り組めるようにする点です。
目標の達成度は個々の社員が管理します。

MBOは、目標をマネジメントする手法ですが、目標と結果が明確になるため、管理者と社員の双方に納得感が得られることから日本では「人事評価の手法」として多くの企業が導入しています。

2.KPIとは

KPIとは、日本語で重要業績評価指標を意味する「Key Performance Indicator」の略語です。
KPIは最終的な目標であるKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を達成するための中間の指標であり、目標達成度合いを評価するための指標です。
KGIとして売上高を10億円と設定すると、KPIは10億円を達成するために必要な例えば、見込み客数、新規顧客への訪問数、新商品の開発数・開発時期・コストなどです。

ポイントは、KGI、KPIを計測が可能な定量的な数字として設定することです。
数値化することで、評価を統一でき、また分析も明確に客観的に行えます。

3.OKRとMBO、KPIとの違い

3つの違いを「目的」「目標の共有範囲」「達成水準」「目標設定期間」「レビューの頻度」「定性的または定量的設定目標」「目標の達成基準」で比較すると、その違いは以下の表のとおりです。


OKRを成功させるための3つの運用ポイント

1.達成できる目標(Objectives)よりも少しだけ高めに設定する

一般的に目標は、達成しなければならないもの、あるいは達成が可能なものを設定します。
しかし、OKRの目標は、少しだけ高めの目標を設定します。
頑張って達成しても60-70%程度しかできないという程度の難易度が理想的な目標です。

そして、目標は定性的で具体的な目標を設定します。
設定する目標は集中度を高めるために多くても5つ以下にとどめます。

目標を達成するための重要な成果(Key Results)は、定性的で、客観的に評価でき、達成するのは容易ではないが、まったく不可能というわけでもないレベルに設定します。
成果は1つの目標に対して3つ程度を設定します。

2.進捗状況を可視化して常に意識できるように運用する

OKRで設定した目標・成果を個々の社員が達成できるよう努力するだけではなく、すべての目標・成果と進捗を可視化できるようにして、常に意識できるようにすることが重要です。
見られていることで意識し、集中して取り組めます。

OKRに限らず、すべての目標管理のフレームワークは、立派なものを作ることよりも徹底的に継続して実行することが最も重要です。

OKRを導入して成功したGoogleは、OKRをきちんと実行しなかったメンバーを、全社員が分かるように名指しで注意喚起したと言われています。

3.OKRの達成率を人事評価に利用しない

高い水準でOKRを推進するには、高い目標に挑戦し続ける必要があります。
高い目標に挑戦すると失敗する可能性があります。
達成率が人事評価に直結すると、確実に達成できる目標しか設定しなくなり、高い水準で挑戦することがなくなってしまいます。


まとめ

海外の有名企業が導入して成功しているOKRについて紹介しました。

OKRは優れた目標管理の手法ですが、あくまでもツールであるため、考え方だけを導入しても成功するわけではありません。
全組織・全社員が全力でOKRに取り組むことが成功する大きなポイントです。

OKRは組織や社員を活性化する手段として検討してみる価値があります。