テクニカルサポートの対応時間は、顧客満足度やサポート品質を左右する重要な要素です。そのため、24時間対応を検討する企業もあるでしょう。
ただし、闇雲に24時間対応すれば顧客満足度が上がるというわけではありません。
人員の確保やコストなどの課題もあるため、問い合わせが発生する時間帯や内容、サービスの特性などを確認し、自社に合ったサポート体制を構築することが大切です。
本記事では、テクニカルサポートの対応時間を決めるポイントや、24時間対応のメリット・デメリット、24時間対応を実現する方法について解説します。
▼ テクニカルサポートの対応時間とは
テクニカルサポートの対応時間とは、顧客からの問い合わせに対してサポートを提供する時間のことです
問い合わせフォームやメールであれば、24時間いつでも顧客が問い合わせを送信できるようにしている企業も多いです。
しかし、スタッフが内容を確認して回答するのは営業時間内に限られるケースも珍しくありません。
つまり、テクニカルサポートの対応時間を決める際は、「問い合わせを受け付ける時間」と「実際に回答・対応する時間」を分けて考える必要があります。
▼ テクニカルサポートの対応時間を決めるポイント
テクニカルサポートの対応時間は、長ければよいとは限りません。
対応時間を広げるほど顧客が問い合わせしやすくなる一方、必要なスタッフの人数や運営コストも増加します。
問い合わせの発生状況や緊急性、顧客が求める対応スピードなどを確認し、自社に適した対応時間を設定しましょう。
・問い合わせが多い時間帯を把握する
テクニカルサポートの対応時間を決める際は、まず問い合わせが多い曜日や時間帯を確認しましょう。
問い合わせが集中する時間帯に十分なスタッフを配置できなければ、電話がつながりにくくなったり、回答までに時間がかかったりする可能性があります。
反対に、問い合わせがほとんどない時間帯まで同じ人数を配置すると、人件費が無駄になってしまうこともあるでしょう。電話やメール、チャットなどの問い合わせ履歴を確認し、曜日や時間帯ごとの件数を把握することが大切です。
・問い合わせ内容の緊急性を確認する
問い合わせの件数だけでなく、どのような内容の問い合わせが発生しているのかも確認しましょう。
システム障害やサービス停止、ログインできないといったトラブルでは、対応が遅れることで顧客の業務に影響を与える可能性があります。サービスの性質によっては、夜間や休日であっても早急な対応が必要です。
その一方で、すべての問い合わせに24時間対応する必要があるとは限りません。
問い合わせを内容や緊急度によって分類し、それぞれに必要な対応時間を考えましょう。
・顧客が求める対応スピードを考える
顧客がどの程度の対応スピードを求めているかも重要なポイントです。
電話や有人チャットは、すぐに担当者とやり取りしたいと考えて利用する顧客が多いでしょう。一方、メールや問い合わせフォームは、電話などと比較すると、ある程度回答を待つことを想定して利用される傾向があります。
問い合わせチャネルごとの特性を踏まえ、受付時間だけでなく、回答までにどの程度の時間を要するのかも検討しましょう。
・対応に必要な人員とコストを確認する
対応時間を延長する場合、人員とコストについても確認が必要です。
24時間対応では、単純に営業時間を延ばすだけではなく、夜間や早朝、休日にもスタッフを配置しなければなりません。シフトを組むためには、一定数のスタッフを確保する必要があります。
対応時間を広げることで得られる効果と、必要になる人件費や運営コストのバランスを考えることが大切です。
▼ テクニカルサポートを24時間対応にするメリット
テクニカルサポートを24時間対応にすると、営業時間に左右されず顧客をサポートできます。
特に、時間を問わず利用されるサービスや、停止すると顧客に大きな影響を与えるサービスでは、24時間対応によって得られるメリットも大きくなります。
・顧客満足度の向上につながる
24時間対応のメリットのひとつが、顧客の利便性を高められることです。
顧客がサービスを利用する時間は、企業の営業時間と一致するとは限りません。
夜間や休日に問題が発生しても、翌営業日まで問い合わせできない場合、顧客が不満を覚えることもあるでしょう。
24時間対応であれば、問題が発生したタイミングで問い合わせできます。
・緊急時の問い合わせに対応できる
システム障害やサービス停止など、緊急性の高いトラブルは営業時間内に発生するとは限りません。
夜間や休日にトラブルが発生した際、翌営業日まで対応できなければ、障害が長時間続く可能性があります。顧客の業務やサービス利用に与える影響も大きくなるでしょう。
24時間対応の体制があれば、営業時間外にトラブルが発生した場合でも、状況の確認や担当部署への連絡といった初動対応が可能です。
・幅広い顧客層に対応できる
24時間対応によって、利用時間の異なる幅広い顧客をサポートしやすくなります。
たとえば、日中に仕事をしている個人ユーザーは、夜間や休日にサービスを利用することも多いでしょう。24時間対応であれば、顧客の生活時間に左右されず問い合わせを受け付けられます。
24時間対応にすることで、サービスの提供地域が広がった場合にも対応しやすいサポート体制を構築できます。
▼ テクニカルサポートを24時間対応にする際のデメリット
24時間対応には多くのメリットがある一方で、人員やコスト、品質管理などの課題もあります。
十分な準備をしないまま24時間対応を始めると、スタッフの負担が増えたり、時間帯によって対応品質に差が生じたりする可能性があります。
導入前にデメリットも把握しておきましょう。
・人件費や運営コストが増加する
24時間対応では、夜間や休日にもスタッフを配置する必要があるため、人件費が増加します。
スタッフの人数だけでなく、夜間勤務や休日勤務に伴うコストも考慮しなければなりません。また、オフィスで対応する場合には、設備や光熱費などの運営コストが増える可能性もあります。
問い合わせ件数が十分にある時間帯なら、コストをかけてスタッフを配置することで一定の効果が期待できます。しかし、深夜にほとんど問い合わせが発生しないにもかかわらず、常にスタッフを配置すると費用対効果が見合わない可能性があります。
24時間対応を導入する前に、時間帯別の問い合わせ件数を確認し、必要なコストに見合う効果が期待できるか検討することが重要です。
・夜間・早朝の人員確保が難しい
24時間対応では、夜間や早朝に勤務できるスタッフを確保する必要があります。
無理なシフトはスタッフの負担を増やし、離職率を高める恐れもあるでしょう。
さらに、テクニカルサポートでは一定の専門知識が必要となり、単純に人数を確保するだけでなく、必要なスキルを持つスタッフを各時間帯に配置しなければなりません。
採用や教育、シフト管理まで含めて、継続して運営できる体制を検討しましょう。
・対応品質を一定に保つ必要がある
24時間対応では、時間帯によって担当するスタッフや人数が変わります。
担当者によって知識や経験に差があると、同じ問い合わせでも回答内容が異なる可能性があります。夜間は少人数で運営する場合もあるため、対応できる範囲に差が生じることもあるでしょう。
対応品質を一定に保つには、マニュアルやFAQ、ナレッジを整備することが大切です。
過去の問い合わせ内容や解決方法を蓄積し、どのスタッフでも必要な情報を確認できる環境を作りましょう。
▼ 24時間対応が向いているテクニカルサポート
すべてのテクニカルサポートに24時間対応が必要なわけではありません。
問い合わせがほとんど発生しない時間帯まで有人対応を行えば、コストが増えるだけ、という恐れもあります。
24時間対応が向いているのは、サービス停止による影響が大きい場合や、顧客の利用時間が幅広い場合などです。
・停止すると大きな影響が生じるサービス
サービスやシステムの停止によって顧客の事業に大きな影響が生じる場合は、24時間対応との相性がよいといえます。
障害が発生して長時間利用できなくなると、顧客の業務そのものが止まってしまう可能性があります。復旧が遅れるほど、顧客への影響も大きくなるでしょう。
すべての問題をその場で解決できなくても、一次対応を24時間行い、緊急度に応じて技術担当者へエスカレーションする方法もあります。
・海外を含む幅広い地域で利用されるサービス
海外の顧客にサービスを提供している場合も、24時間対応を検討する価値があります。
海外の利用者が多くなれば、問い合わせが発生する時間帯も広がります。複数の国や地域にサービスを展開している場合、日本の営業時間に合わせたサポート体制では対応が難しくなるでしょう。
24時間対応にすれば、時差に左右されず問い合わせを受け付けられます。
ただし、海外対応では時間だけでなく、言語の問題もあるため、必要に応じて多言語対応が可能なスタッフを配置するなど、顧客に合わせた体制を検討しましょう。
・夜間や休日にも利用されるサービス
夜間や休日の利用が多いサービスも、24時間対応が向いています。
営業時間外に問い合わせが集中しているにもかかわらず、翌営業日まで対応できなければ、購入を諦めるなど顧客の行動に影響する可能性もあります。
ただし、夜間や休日に利用されるサービスだからといって、必ず24時間の有人対応が必要とは限りません。
実際の問い合わせ件数や内容を確認し、有人対応が必要な時間帯と、FAQやチャットボットなどで対応できる時間帯を分ける方法も検討しましょう。
▼ テクニカルサポートの24時間対応を実現する工夫
24時間対応を実現する方法は、自社スタッフによる有人対応だけではありません。
自社ですべて対応するのが難しい場合は、チャットボットやAIによる自動化、外部事業者への委託などを組み合わせる方法があります。
必要なサポート内容や問い合わせ件数、予算などを踏まえて、自社に合った方法を選びましょう。
・自社で24時間の有人対応体制を構築する
自社スタッフをシフト制で配置し、24時間の有人対応体制を構築する方法があります。
自社の製品やサービスについて十分な知識を持つスタッフが直接対応できるため、専門性の高い問い合わせにも対応しやすい点がメリットです。
ただし、夜間や休日を含むシフトの作成や労務管理も必要です。特定のスタッフに負担が偏らないよう、継続して運営できる人員体制を整えましょう。
・チャットボットやAIを活用する
すべての問い合わせにスタッフが直接対応するのではなく、チャットボットやAIを活用する方法もあります。
操作方法やパスワードの再設定、よくあるトラブルへの対処方法など、定型的な問い合わせであれば自動で回答できるケースがあります。
チャットボットなどを利用すれば、スタッフが勤務していない時間帯でも顧客自身で必要な情報を確認できます。
また、定型的な問い合わせを自動化することで、有人対応が必要な複雑な問い合わせにスタッフを集中させることもできるでしょう。
ただし、すべての問い合わせを自動化できるわけではありません。チャットボットで解決できなかった場合に、有人対応へ切り替えられる仕組みを用意しておくことも大切です。
・問い合わせ窓口を外部委託する
自社だけで24時間対応のスタッフを確保することが難しい場合は、問い合わせ窓口を外部委託する方法もあります。
コールセンターやBPO事業者などに委託すれば、自社で夜間・休日のスタッフを採用したり、24時間のシフトを構築したりする負担を抑えられます。
すべての問い合わせ対応を委託するだけでなく、夜間や休日だけ外部へ委託することも可能です。また、一次受付を外部に任せ、専門的な対応が必要な問い合わせだけ自社の担当者へ引き継ぐ方法もあります。
ただし、外部委託では、自社の製品やサービスに関する情報を委託先へしっかりと共有することが重要です。対応範囲やエスカレーションの基準、情報共有の方法などを事前に決め、どの時間帯でも一定の品質で顧客対応ができる体制を整えましょう。
▼ まとめ
テクニカルサポートの対応時間は、顧客の利用状況や問い合わせ内容、求められる対応スピードなどを踏まえて設定することが重要です。
24時間対応にすれば、顧客が時間を問わず問い合わせできるほか、夜間や休日に発生したトラブルにも対応しやすくなります。一方で、人件費や運営コストの増加、人材確保、対応品質の維持といった課題もあります。
そのため、必ずしもすべての問い合わせを24時間有人で対応する必要はありません。
緊急性の高い問い合わせだけ時間外にも対応する、チャットボットやAIを活用する、夜間・休日の問い合わせ窓口を外部委託するなど、複数の方法があります。
問い合わせの発生状況や自社のリソースを確認し、顧客ニーズと運営コストのバランスを取りながら、無理なく継続できるテクニカルサポート体制を構築しましょう。

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