お客様との最初の窓口となるCS(カスタマーサポート)は、企業イメージを左右する重要な業務です。
カスタマーサポートを単なる問い合わせ窓口として捉えて軽視すると、顧客不満足から企業イメージ低下につながってしまいます。

この記事では、
「会社の問い合わせ窓口の専任化は必要なのか?」
「カスタマーサポート担当者にどんなスキルを身に着けさせれば、顧客満足度を上げられるのか?」
といった、顧客満足度を上げるために必要なスキルについて解説します。

CS(カスタマーサポート)とは

CS(カスタマーサポート)とは、企業への問い合わせに対応する業務です。
企業イメージに与える影響が見直されていることから、近年はカスタマーサポートを重視する企業が増えています。

CS(カスタマーサポート)とコールセンターの違い

よくカスタマーサポートとの違いが分からないと言われるのがコールセンターです。
コールセンターとは、電話対応に特化した窓口を指します。
これに対してカスタマーサポートは、電話対応だけでなく、メールやチャットでの対応も含めて指すことが多いです。

しかし明確な定義があるわけではないので、企業によっては「コールセンター」と
呼ばれていても、メール対応やチャット対応をしているところもあります。

CS(カスタマーサポート)の仕事内容

カスタマーサポートとは、具体的にどのような仕事内容なのでしょうか?
この章では、主な3つの仕事内容について解説します。

問い合わせ対応(インバウンド業務)

カスタマーサポートはインバウンド業務(受電業務)が中心で、業務内容は以下のように多岐にわたります。

  • 商品の受注
  • お客様サポート
  • 問い合わせ対応

最近では電話やメール以外にも、チャットを活用することで対応を迅速・効率化させる企業が増えています。

アウトバウンド業務

受動的に電話が問い合わせが来るのを待つインバウンド業務に対して、能動的に行うのがアウトバウンド業務(発信業務)です。
以下の目的で、電話やメールなどでお客様にアプローチします。

  • 新規顧客獲得
  • 既存顧客の継続利用や再購入を促す
  • マーケティング(市場動向の把握)

クレーム対応

カスタマーサポートでは、必然的にクレーム対応が多くなります。
お客様がカスタマーサポートに問い合わせるのは、購入した商品やサービスに不具合が生じた時が多いからです。

クレーム内容の把握や対応策を適切に伝えることで、顧客の不満を和らげるのもカスタマーサポートの大切な仕事になります。

カスタマーサポートの主な仕事内容
カスタマーサポートの主な仕事内容

CS(カスタマーサポート)の5つの役割

やっている業務はシンプルに見えるかもしれませんが、カスタマーサポートには実は様々な役割が求められています。
この章では、カスタマーサポートの5つの役割について解説します。

お客様の課題を解決し、顧客満足度を上げる

カスタマーサポートに求められるのはもちろんお客様の課題を解決することですが、それだけではありません。
課題解決には、スピードと正確さが求められます。
特にクレームに対しては、企業の顔としてお客様の不満や不安を取り除くための解決策を即座に提示しなければいけません。

なぜなら迅速・正確な課題解決ができれば、お客様は不満や不安がなくなるどころか、「素晴らしい対応だった」と満足さえ感じるようになるからです。

つまりカスタマーサポートの正確で迅速な対応は、顧客満足度向上に欠かせない要素なのです。

お客様の声を商品やサービスにフィードバックする

カスタマーサポートの役割は社外だけにとどまりません。お客様の声を社内にフィードバックすることも求められます。
実際に自社の商品やサービスを使用したお客様の声(特にクレーム)は、商品やサービスの改善において、ライバル社と差をつける大きなヒントになります。

お客様と直接やり取りする機会が少ない製造部門や開発部門は、自社目線で視野が狭くなりがちです。
そこでカスタマーサポートがお客様と自社を橋渡しすることで、第三者目線や新しい視点を社内で共有することができるようになるのです。

リピーターを増やして企業の収益性を上げる

企業にとって、リピーターの数が収益性に直結するのは言うまでもありません。
リピーターを増やすためには、商品やサービスの満足度を上げることが大事です。
前述したようにお客様の満足度を上げることはカスタマーサポートの役割の1つですので、リピーターを増やすためにも、カスタマーサポートの適切な対応が欠かせません。

今後お客様になるかもしれない人たちを、お客様に引き上げる

見込み顧客を新規顧客に引き上げるのも、カスタマーサポートの重要な役割です。

マーケティングにおける、顧客引き上げのステップは以下4つです。

ステップ1.潜在顧客を集める
↓
ステップ2.潜在顧客を見込み顧客に引き上げる
↓
ステップ3.見込み顧客を新規顧客に引き上げる
↓
ステップ4.新規顧客を既存顧客に引き上げる

カスタマーサポートは上記ステップの③④に貢献します。
ステップ③においてカスタマーサポートが適切な説明をすれば、見込み顧客は商品やサービスに対する不安がなくなり、購入に至ってくれます。(見込み顧客が新規顧客になる)
ステップ④においても、一度購入したお客様が不満・不明に感じたことをカスタマーサポートが解決できれば、お客様は継続利用または再購入してくれるでしょう。(新規顧客が既存顧客になる)

企業をブランディングする

企業は商品やサービスの認知度を高めるために活動しますが、その時に企業独自の強みをお客様に認識してもらわなければいけません。
ブランディングとは、企業が提供したい価値とお客様のイメージを一致させることです。

直接お客様とやり取りしますから、カスタマーサポートの対応はお客様のイメージに大きな影響を与えます。
企業の顔とも言えるカスタマーサポートは、企業のブランディングにおいても重要な役割を果たしているのです。

カスタマーサポートに求められる5つのスキル
カスタマーサポートに求められる5つのスキル

CS(カスタマーサポート)に求められる5つのスキル

カスタマーサポートの業務は、電話対応やメール、チャットなど多岐にわたるため、様々なスキルが必要です。
この章では、カスタマーサポート担当者が習得すべき5つのスキルについて解説します。

現状把握力(ヒアリング力)

必須なのが、現状把握力(ヒアリング力)です。
問い合わせをしてくるお客様がどのような状況か正確に理解しなければ、課題解決できないからです。
重要なのは、仮説を立て検証することです。

「○○でお困りではないですか?」
「○○でお困りということは、○○にも困っているのではないですか?」
などと自分なりの仮説を立て、お客様が困っていることにフォーカスしていきます

課題解決力

現状が把握できたら次に必要になるのが、課題解決力です。
課題解決は、以下3ステップで考えていきます。

ステップ1.課題の本質をとらえる

お客様が困っていることの本質を理解するためには、お客様が言っていることだけに注目するのではなく、お客様自身が気づいていないような背景にまで注目して、課題の要因について掘り下げることが必要です。

ステップ2.解決までの道筋を提示する

課題の本質が分かったら解決策を提示しますが、ここで必要になるのが「提案力」です。
提案力を高めるには、以下のコツを押さえて提案してみましょう。

  • 相手の視点で考える
  • 客観的事実を述べる
  • 数字や事例を用いて具体性を持たせる

ステップ3.解決策を実行する

解決策はお客様に実行してもらわなければ意味がありません。この時に大切なのが「説明力」です。
解決策を、お客様がイメージ・実行しやすいように話します。
説明力を高めるポイントは、以下の通りです。

  • まずは自分がしっかりと理解する
  • 相手が何も知らない前提で話す
  • 結論を先に伝える
  • 結論の後には必ず根拠を述べる

コミュニケーション力

仕事ではコミュニケーション力が欠かせませんが、カスタマーサポートにおいてはさらに重要です。
お客様へ適切に対応するためには、相手と意思疎通を図る=コミュニケーションを深める力が欠かせないからです。
カスタマーサポートにおけるコミュニケーション力とは、多様なお客様と協調して物事を進める力のことを指します。

判断力

カスタマーサポートでは、時には自己判断せずに上司に取り次がなければいけない場面もあります。
例えば回答が曖昧な時や、上司を出さなければ落ち着いてくれそうにないほどお客様が激昂している時などです。
自分で対応できるか、または上司に取り次がなければいけないかを判断する力も必要になります。

商品やサービスの知識

上記4つのスキルは、経験が浅い担当者がすぐに身に着けるのは難しいものかもしれません。
しかし経験の浅い担当者でも、比較的簡単に身に着けられるものもあります。
それが商品やサービスの知識です。
他のスキルに不安があってもこれを身に着けるだけで、ある程度自信を持って回答することができるようになります。

ただし担当者に知識を習得してもらうためには、企業にも勉強会や資料提供などの仕組み作りが求められます。

カスタマーサポートの5つの役割
カスタマーサポートの5つの役割

CS(カスタマーサポート)が重視されるようになった理由

カスタマーサポートが重視されるようにになったのは、ごく最近のことです。
長い間企業に身を置いている人にとっては、カスタマーサポートはコストセンターだという認識も根強いかもしれません。
しかし近年、カスタマーサポートの重要性はますます高まっています。
なぜなら商品やサービスが同質化(コモディティ化)しやすい現代では、お客様の課題に目を向け改善のための努力を続ける企業しか選ばれなくなっているからです。

こういった環境で成長を続けるためには、企業はお客様の声に耳を傾けなければなりません。
企業がお客様の声を直接聞くカスタマーサポートを重視するようになったのは、必然の流れだと言えるでしょう。

CS(カスタマーサポート)部門の運営方法

カスタマーサポートの重要性について説明してきました。
ここまで読んでいただいた方の中には、「自社でもカスタマーサポート部門を設立し、注力していきたい」と考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの章では、カスタマーサポート部門を運営する上での4つのポイントを解説します。

オペレーターに役割を理解させ役割を全うさせる

オペレーターが自分の業務を「やらされている」と感じているようでは、業務の向上は見込めません。
カスタマーサポートの重要性をオペレーターにも認識させ、役割を理解してもらうことが大切です。
オペレーターがやりがいを実感できれば、自分の業務を全うするだけでなく、企業の想定以上の働きをしてくれるでしょう。

他部署・他部門と連携できる体制作り

カスタマーサポートが役割を最大限発揮するためには、社内のチームワークが不可欠です。
とくに生産、マーケティング、営業部門と情報を共有して連携すれば、手厚い顧客サービスを実現することができます。

例えば生産部門と密に連携することで、欠品に対しても「本日在庫はありませんが〇月〇日にお届け可能です」と正確且つスピーディーに回答できます。
カスタマーサポートが最大限力を発揮するには、他部門と連携できる体制作りは欠かせないポイントなのです。

FAQを常に最新状態にアップデートする

カスタマーサポートが効率的に業務を行うには、FAQが欠かせません。
FAQは業務で得た知識を基にしているので、日々変更があったり、新しい知識が増えたりします。
従って、いつでも効率的に業務を行うためには、FAQを定期的に見直し、常に最新状態にアップデートしておくことが重要です。

部門全体で情報共有できる体制作り

情報共有はチームで仕事をする上で大切ですが、特にカスタマーサポート部門は対応1つで顧客の信用を失うこともあるので、ことさら重要になります。
情報共有できていないカスタマーサポートの現場では、以下のことが起こってしまいます。

  • 顧客満足度の低下
  • スタッフ同士の関係悪化
  • 応対品質にバラつきがでる

今では情報共有に有効なツールがたくさんありますので、適切なツールを導入し活用してください。

CS(カスタマーサポート)をアウトソーシングするメリット

カスタマーサポート部門の運営について、「手間もコストもかかるのではないか」と不安になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで注目されているのがアウトソーシングです。

ビジネス業界では企業の資源をより効率的に投資する目的で、ビジネスプロセスをアウトソーシングするBPOの傾向が高まっており、2025年度には市場規模が4.9兆円になると予測されています

BPO市場規模推移・予測
BPO市場規模推移・予測

参考:矢野経済研究所「BPO市場に関する調査(2021年)」

この流れを受け、カスタマーサポートにおいても外注を検討する企業が増えてきました。
カスタマーサポートのアウトソーシングには、以下のような様々なメリットがあるためです。

育成期間を経ずに高品質なオペレーターをアサインできる

カスタマーサポートをアウトソーシングすることで、オペレーターを採用する手間・コストや、育成の時間・コストが不要になります。
最初から高品質なオペレーターで業務を開始できるのは、企業にとって大きなメリットです。
採用・育成に使わなかった浮いたリソースを、マーケティングや新規開拓などに投入することで、企業戦略の多極化が可能になるからです。

提出されるレポートで問い合わせの件数や内容を把握しやすい

カスタマーサポートをアウトソーシングすると、アウトソーシング先から定期的にレポートが提出され、問い合わせ件数や内容を把握できるようになります。
自社で同じことをしようとすると多くのツールやノウハウが必要になってきますが、アウトソーシング先には元々ツールもノウハウもあるので、簡単にデータを集計・整理することができるのです。
このデータは商品やサービスの改善に使えるだけでなく、企業経営の判断材料として活用することも可能です。

FAQを常に最新状態にアップデートできる

カスタマーサポート部門の運営においては「FAQを常に最新状態にアップデートする」ことが重要だと前述しましたが、実はFAQのアップデートには多くの人員・時間が必要です。
ここをアウトソーシングすることで、リソースを大幅に削減できるのです。

チーム全体で情報共有できる体制が整っている

アウトソーシング会社は、通常複数人でチームを組み業務にあたります。
チーム内で情報共有される体制が整っているため、情報共有に関する心配もありません。

お役立ち資料のご案内

【チェックリスト付き】コールセンター会社の選び方3ステップ

「アウトソーシング先の選定方法が知りたい」という方に向けて、資料をご用意しました。

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まとめ:CS(カスタマーサポート)を外注することで資源が有効活用できる!

企業の成長には、カスタマーサポートの果たす役割が欠かせない要素となっています。
商品やサービスがコモディティ化している状況では、サポート体制で差別化を図るしかないからです。

自社でカスタマーサポート部門を構築するのも良いのですが、より効率化を目指すならば、アウトソーシングした方が無難だと言えるでしょう。
資源を戦略的に活用することが、現代の企業には求められているのです。

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