「秘書代行サービス」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
しかし、「電話代行サービス」や「コールセンターサービス」といった似たような名称のサービスもあり、違いが分からないと感じている方も多く見受けられます。
そこで本記事では、それぞれのサービスの範囲や内容についてご説明します。
秘書代行サービスとは
「秘書代行サービス」とは、主に電話の受付対応(一次受け)を代行するサービスのことです。
クライアント企業に代わって、かかってきた電話に対応します。
個人事業主や小規模事業者にとっては、不在時や商談時など社内で電話対応できない時にも秘書代行サービスが代わりに電話対応してくれるので、機会損失を防ぐのに役立ちます。
中規模以上の事業者にとっても、電話がかかってくる度に業務の手が止まってしまう、ということがなくなるので、業務を効率化することができます。
飛び込み営業の電話に毎回対応していては、きりがないですよね。
なお秘書代行サービスは「電話代行サービス」と呼ばれることもありますが、多くの場合、名称が違うだけでサービス内容は、基本的には同じです。
(もちろんサービスによって違いますので、全てがそうではありません。)
これらのサービスは、一般的には以下のように運用されます。
(お客様をA社、代行サービス会社をB社、代行サービスを利用しているクライアントをC社とします。)
1.A社の○○様からC社に電話がかかってくると、電話がB社に転送される。 ↓ 2.B社のオペレーターは、C社の社員として受付対応する。C社を名乗り、○○様の名前や連絡先、用件などを正確に聴取する。 ↓ 3.B社のオペレーターは、電話の内容をすぐにC社の担当者に対してメールや電話で報告する。 ↓ 4.C社の担当者は、自分は電話に出ていないが、電話の内容を把握することができる。必要があれば、A社の〇〇様に折り返しの連絡をする。
コールセンターサービスとの違い
秘書代行サービス、電話代行サービス以外に、「コールセンターサービス」という名称のサービスもあります。
秘書代行・電話代行サービスとコールセンターサービスの大きな違いは、「二次対応まで委託できるかどうか」という点です。
秘書代行・電話代行サービスは主に小規模の企業において利用され、一次対応のみを外注し、折り返しの連絡やクレーム対応などの難しい対応はクライアント自身で行うといった形で利用されることが多いです。
対してコールセンターサービスは小規模から大規模の企業まで幅広く利用され、一次対応だけでなく二次対応まで外注することが可能です。
つまり問い合わせ発生からクローズまで委託する、という形で利用されることが多くなっています。
ですのでサービスの種類が多くて検討しきれないと感じている方は、まずは一次対応だけ委託したいのか/クローズまで委託したいのか、という観点で検討対象を絞り込むと良いでしょう。
電話代行サービスのメリット
ここから先は、秘書代行サービス・電話代行サービス・コールセンターサービスすべてをひっくるめて「電話代行サービス」と総称し、説明させていただきます。
様々な規模の企業が利用する電話代行サービス。
これらのサービスを利用することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
クライアント企業の規模別に見ていきましょう。
個人事業主・小規模事業者にとっての2つのメリット
個人事業主・小規模事業者にとってのメリットは2つあります。
機会損失を防ぐ
1人がいくつもの業務を兼任したり、特定の業務は1人しかできなかったりと、人的リソースに余裕がないのが個人事業主や小規模事業者です。
当然担当者は忙しいわけですから、外出していたり、業務のために席を外していたりします。
ですが問い合わせに対して留守ばかりでは、相手のイメージも悪くなりますし、新規の顧客を逃してしまうことにもなりかねません。
電話代行サービスを利用すれば確実に一次対応はできるため、このような機会損失を防げます。
採用コスト・教育コストなどの人件費削減
電話対応専任の社員を採用する必要がなくなり、採用コスト・教育コストなどの人件費を削減できます。
多くの場合、社員を1人雇用するよりも電話代行サービスを利用する方が毎月の費用は安くなります。
またオペレーターは電話対応のプロなので、正確性などの電話対応品質は、最初から担保できます。
中規模・大規模事業者にとっての2つのメリット
中規模・大規模事業者にとってのメリットも2つあります。
業務効率化・生産性向上
電話対応を専任の担当者ではなく、他の業務に従事している社員が兼任して行っているという企業も多いのではないでしょうか。
この場合、社員は他の業務と並行しながら電話対応をすることになります。
そうなってくるとこの社員は、電話がかかってくる度に作業の手が止まり、集中力も途切れ、本来やるべき業務の効率が落ちてしまいます。
そこで電話代行サービスを利用することで、どの社員も自分の業務に集中できるようになり、業務効率化と生産性向上が図れるのです。
顧客満足度向上
前述したように、電話代行サービスを利用すると、プロのオペレーターによる高品質な電話対応が可能になります。
また他の業務と並行しながら社員が電話対応する場合と比べ、オペレーターは電話対応のみに集中できるので、聞き間違いや会話の内容を忘れるといったミスも無くなります。
結果として顧客満足度の向上に繋がるのです。
電話代行サービスができる4つのこと
電話代行サービスを利用して委託される主な業務が4つあります。
基本的には委託する業務はこれら4つのうちのどれかに当てはめられるでしょう。
一次対応
一次対応とは、電話の取次業務のことです。
相手の社名や名前、用件や連絡先などを聞き、クライアント企業の担当者に伝えます。
問い合わせに対して、分かる範囲で対応する場合もあります。
一次対応と一口に言っても、以下のように各社で対応範囲は様々です。
対応範囲が狭いサービス会社 | ・簡易受付のみ(低価格でのサービス提供や、在宅オペレーターで運営しているため) ・複雑な対応は不可(時間がかかるため) |
対応範囲が広いサービス会社 | ・高価格帯でサービスを提供している ・クライアント企業の要望に従い、様々な業務内容に幅広く対応している |
二次対応・クレーム対応
二次対応とは、一次対応だけでは解決できない問い合わせに対応することです。
一度電話を切って商品・サービスの仕様を確認したり、顧客のアカウント情報や購入履歴を確認したりした後、企業側から顧客に連絡をします。
サービスによっては二次対応やクレーム対応はできない場合があるので、注意が必要です。
受注業務
商品やサービスの受注業務も電話代行サービスの重要な役割です。
ECサイト運営企業など、コールセンター業務と受注業務が一連になるようなケースでよく利用されます。
サービスによっては電話だけでなくメールでの受注業務にも対応可能です。
架電(アウトバウンド)
かかってきた電話に対応する受電(インバウンド)業務だけでなく、営業や提案のための架電(アウトバウンド)を委託することもできます。
こちらも自社内で対応するより電話代行サービスを利用した方が、コストパフォーマンスが高いことが多いです。
最近では架電(アウトバウンド)専門の電話代行サービスも存在しています。
電話代行サービスの料金プラン
電話代行サービスの料金プランは、2つのパターンに分けられます。
月額固定型
電話代行サービスの月額固定型料金プランは、以下の組み合わせになります。
初期導入料(契約料、設定料)+月額基本料
初期導入費用には、オペレーターの研修費用やマニュアル作成費用が含まれていることもあります。
月額基本料金は、想定される対応件数(1月あたり何件電話がかかってくるのか)や受付日時(24時間なのか、土日祝日を含むのか)によって決められます。
想定される対応件数を超過した場合、1件あたりいくら、という追加料金が発生します。
月額料金が安いプランでは、追加料金が高めに設定されている場合もありますので、複数社から見積もりを集めた場合は、この点にも注意しましょう。
成果報酬型
成果報酬型は主に架電(アウトバウンド)業務に関する料金体系で、アポイント獲得数などに応じて報酬額が決まります。
成果報酬型の相場は、アポイント1件あたり10,000円~15,000円程度となっています。(商材によっては数万円になることもあります。)
また、架電リストを自社で提供するか否かによっても価格は変動します。
電話代行サービスを選ぶポイント
ここまでご覧になって、サービス内容や料金形態についてお分かりいただけたかと思います。
では、電話代行サービスはどのような基準で選べば良いのでしょうか?
選定する際の5つのポイントについて、見ていきましょう。
業務範囲
業務範囲とは、どこまで自社で行い、どこから外部委託するのかの範囲です。
業務範囲によって、料金は変わってきます。
もちろん範囲を広げれば広げるほど料金は高くなりますが、社内の稼働を減らせなければ、費用対効果が見込めません。
あらかじめ外部委託したい業務を明確にしておき、費用とのつり合いがとれるポイントを見極めるようにして、サービスを選定すると良いでしょう。
プランの柔軟性
料金プランは、どれくらい柔軟に変更できるかも確認しなければいけません。
例えばテレビCMなどの大規模なプロモーションを行った後は、問い合わせ件数が急激に増えることが予想されます。
そんな時契約内容が「プラン変更は半年前までに申し出ること」となっていたらどうでしょうか。
半年間プランを変更することができず、割高な超過料金を何か月も支払うことになってしまいます。
テレビCMであれば半年前までに予測しておくことも可能ですが、急にSNSで話題になったり、有名なインフルエンサーに取り上げられたりすることもあります。
このような場合を想定して、料金プランは柔軟に変更できるサービスを選びましょう。
対応件数以外にオプションの追加・削除も同様に、柔軟に変更できるものが使いやすいサービスだと言えます。
報告書の頻度
どのサービスを選んでも報告書は提出されますが、その頻度はチェックしておきましょう。
基本的には月に一度で十分ですが、どうしても毎日・毎週報告書が欲しいという場合は、対応の可否を確認しておかなければなりません。
エスカレーション方法
エスカレーションとは、マニュアルに記載されていない問い合わせがあった時や、どうしても代行会社側では対応できないことが起きた時にクライアント企業に対応方法を指示してもらうことです。
会社ごとに使いやすい連絡手段は異なります。
おおよそ以下の方法が利用されているのではないでしょうか。
・電話 ・メール ・チャットツール ・タスク管理ツール
盲点になりがちですが、自社が使いやすい手段でエスカレーションしてくれるかどうか、という点も重要な選定ポイントです。
まとめ:各種電話代行サービスの違いを理解し、ポイントを押さえて自社に適切なものを選びましょう
いかがでしたか?
サービスによって提供できる内容に違いがあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
利用する側の規模や事業内容に応じたサービスを利用することで、業務効率や生産性が向上するといったメリットが得られます。
電話代行サービスを導入する際は、ぜひ当記事を参考にしてください。